治療・手術
Medical DX編集部 2020.7.1

院内感染防止も地域格差も、オンラインが解決?遠隔医療の最前線

■遠隔診療・オンライン診療とは?


近年、医者と患者をスマートフォン、PCでつなぐ「オンライン診療」をはじめとした「遠隔医療」が注目され始めた。

これまでもオンライン診療は行われてきていたが、昨今の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)では、全国に緊急事態宣言が発令され、移動の制限が起こったこと、病院内でのクラスター発生が多発したことで、注目されるようになったのだ。

4月7日、政府の臨時閣議において、「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」を閣議決定したが、その中で2018年3月に厚生労働省が発表したオンライン診療に対するガイドラインを、時限的措置(「感染が収束するまで」)として事実上緩和し、それまで禁止されてきた受診歴がない初診患者へのオンライン診療、電話での診療も可能となったのである。

これによって、医療機関の少ない地域の人たちや、動きの取りづらい人など、普段の治療に悩む患者たちも恩恵を受けられるはずだ。

とはいえ、まだ遠隔医療の普及が十全に進んでいるとは言いがたい。そこで本稿では、日本で実際にどのような取り組みが行われているのかを紹介していく。

■オンライン診療プラットフォームはそろいつつある!


遠隔医療のなかで最も注目されているのが、前出のとおり、オンラインによる診療ということになる。

ことに患者側には通院の手間がはぶけ、院内感染などの恐れがなくなるといったメリットがある。さらに医療機関向けに展開されているサービスを使うことによって、より簡便にオンライン診療を行える。

またそれに応えるように、医療機関向けに展開されているサービスも増えている。

まず、医療機関が導入できるサービスの、代表的な例をいくつかあげていこう。

まず、オンライン診療の草分け的存在なのが、株式会社メドレーのCLINICS(クリニクス)だ。予約・問診のスケジュール管理、電子カルテから決済までがすべて一貫して行える。医療機関が導入に迷ったときのための「オンライン診療完全ガイドブック」もホームページからダウンロードできるなど、サポートが手厚いのが特徴だ。

さらには、MRT株式会社による「オンライン診療ポケットドクター」も同様のサービスだが、診療中に画面で赤ペン・指さし機能で患部を指摘できるなど、アプリ上での細やかな配慮がなされている。さらに、この新型コロナウィルス対策として、2020年9月6日(予定)まで、医療機関に対しての無償提供を行っている。

■ケーブルテレビ網を使って診療を全国へ


オンライン診療サービスとして、3500件の導入事例を持っている(2020年5月時点)のが株式会社MICINの「curon(クロン)」だ。導入・月額の費用が無料であることが話題のシステム。

株式会社インテグリティ・ヘルスケアの「YaDoc(ヤードック)」は、iPhoneのアプリ「ヘルスケア」などと連携し、血圧・脈拍等の生体データをモニタリング管理できることがポイントである。

そしてこの2社のシステムと連携して、株式会社ジュピターテレコム(J:COM)が2019年からケーブルテレビを利用したオンライン診療の実証実験を始めている。まずは福岡市および東京都足立区、葛飾区、練馬区で実験を行っており、将来的にはジュピターテレコムの持つ11社71局を通じた約551万世帯(契約数)へのインフラを使ったサービスの開業を目指している。

これらはごく一部だが、医療機関が導入することにより、なかなか医療機関に訪れることが難しいような患者も恩恵を被ることができるサービスである。


■病院に行こうかどうか……健康相談もオンラインで


いっぽう、オンライン診療ではないが、患者の立場からすると便利なサービスとして、オンラインで健康相談ができるものがある。

誰しも「体の調子がちょっとおかしいな」という状況は起こりうる。そして「今の状況は病院にいくほどの症状なのか」「ひょっとして重病なのか?」と迷うことがある。そんなときに自分の健康状態を相談できるサービスが存在する。

内科からガン相談まで総合的にチャットやテレビ電話で健康相談ができる、株式会社Mediplat「first call」などは、代表的なサービスの一例だろう。

さらに各科の細やかなサービスもある。株式会社Kids Public「小児科オンライン」はどんな小さな悩みでも相談できるため、初めてのお子さんを持った方々にはピッタリ。ほかにも、株式会社HIKARI Lab「ココロワークス」では臨床心理士・公認心理師によるカウンセリングをオンラインで行える。CAPS株式会社の「ask365」は医師だけではなく、看護師や栄養士、理学療法士、ケアマネージャーなどにも相談ができる。

ただし、いずれも、あくまで「健康相談」であることに注意したい。

COVID-19で注目され始めた遠隔医療。今回に限らず、遠隔地での移動の制限における問題も、医療従事者の不足も、こうした取り組みが世間に認知されることで、解消されていくことを望みたい。


内閣府「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」
https://www5.cao.go.jp/keizai1/keizaitaisaku/2020/20200407_taisaku.pdf
厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針」(2018年)
https://www.mhlw.go.jp/content/000534254.pdf
令和2年4月10日事務連絡 - 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/000620995.pdf
CLINICSオンライン診療|クラウド診療支援システムCLINICS(クリニクス)
https://clinics-cloud.com/online/
TOP | スマホでオンライン診療 ポケットドクター
https://www.pocketdoctor.jp/
curon(クロン)
https://curon.co/
オンライン診療・疾患管理システム YaDoc(ヤードック)
https://www.yadoc.jp/
J:COMプレスリリース「国内初 ケーブルテレビを活用したオンライン診療の実証実験を福岡と東京で開始 」
https://newsreleases.jcom.co.jp/file/81445_print.pdf
first call(ファーストコール)医師による健康相談
https://www.firstcall.md/
小児科オンライン|お子様に関する悩みをチャットや電話で気軽に相談
https://syounika.jp/
HIKARI Labのオンラインカウンセリング ココロワークス
https://www.hikarilab.co.jp/work/kokoroworks
ask365 医師や専門家にスマホで健康相談。
http://ask365.jp/

写真:Shutterstock
印刷ページを表示
WRITTEN by

Medical DX編集部

Medical DX編集部です。医療テクノロジーの活用についての情報をさまざまな視点からお伝えしていきます。
他カテゴリの記事を読む

DXによる医療・ヘルスケアの
変革を伝えるメディア

会員登録

会員登録していただくと、最新記事を受け取れたり、その他会員限定コンテンツの閲覧が可能です。是非ご登録ください。