治療・手術
Medical DX編集部 2022.3.29

医療DXにおけるデジタルヘルスの役割と、新たなプラットフォームの提案〜ディピューラメディカルソリューションズ【OPTiM INNOVATION 2021 Final レポート】

2022年1月25日、オンライン診療「ポケットドクター」などのサービスを展開しているオプティムのイベント「OPTiM INNOVATION 2021 Final」が開催された。さまざまなDX事例が紹介されたこのイベントにおいて、医療業界でデジタル技術が果たすべき役割も紹介された。

ここでは、ディピューラメディカルソリューションズ株式会社(以下「ディピューラ社」)代表取締役社長・岡田正規氏による「医療の未来 ~デジタルがつなぐ匠の智慧~」と題されたセッションから、ディピューラ社が考えるデジタルヘルスサービスの役割とそのサービスを実現する新たなヘルスケアプラットフォーム事業についてご紹介しよう。

このセッションの見逃し配信が期間限定で行われています。デジタルヘルスケア治療用アプリ、ディピューラ社の目指すことなどを知りたい方は、下記リンクからぜひご視聴ください。
配信セッション:OPTiM INNOVATION 2021 Final 「医療の未来 ~デジタルがつなぐ匠の智慧~」
配信期間:4月29日(金)まで
OPTiM INNOVATION 2021見逃し配信サイト

■医療の効率化に貢献するデジタルヘルスの在り方


ディピューラ社は『「いのち」をつなぐ、「医療」をつなぐ』という企業理念のもと、シスメックス株式会社と株式会社OPTiMの合弁事業として2020年6月に設立された。

シスメックス株式会社は検査センターや病院の検査室で使用される臨床検査装置・試薬とその周辺サービスとしてのITソリューションの開発・製造・販売業務を行う医療機器メーカーだ。一方、OPTiMはオンライン診療ツール・ポケットドクターや、高齢者向けのオンライン在宅医療AI技術を用いた医療画像診断支援システムをはじめ、数々の医療事業を手がけている。

岡田氏はディピューラ社について「さまざまなアプリと柔軟に連携できるリンク機能を有するOPTiM Cloud IoT OSという汎用プラットフォームを活かしてデジタルヘルスサービスのエコシステムを立ち上げていくということが使命」であると語った。

国内の事業環境上の重要なポイントとして、国民医療費のうち生活習慣病が約3分の1を占めていること、税負担率に対する高い社会保障制度費用によって、医療財源の問題が噴出している現状を挙げ、この問題を解決するために地域包括ケアシステムなどの新しい医療構想をもとに、医療機関だけに頼らない新しい医療の形を提案することが喫緊の課題である。

医療の効率は、精神的負担や身体的負担なども含めた患者のアウトカムを、医療スタッフの時間・金銭などのコストを含めた医療リソースとの比率によって評価できるものだ。そこで、デジタルによって患者のアウトカムをいかに高め、医療リソースをいかに抑えるかということが、これからの医療に貢献する重要な考え方であるとし、「そこで注目されるのが、デジタルヘルスという新しい医療技術だ」と語る。

デジタルヘルス分野で特に注目されているのが、DTx(デジタルセラピューティクス)、あるいはデジタルメディシンと言われる、治療や診断に用いるプログラム医療機器である。これらは臨床有用性に関するエビデンスをもとに申請することで医療機器として承認が取得され、さらには公的医療保険によって臨床現場で使用される、全く新しい治療用製品カテゴリである。

こうしたプログラム医療機器の例として、岡田氏は2つの製品を挙げた。

まずはフランスVoluntis社の2型糖尿病の管理アプリ「Insulia®」。これはこれまで医師が行ってきたような、患者の状態によってアプリが自動で分析をしてインスリンの投与を算出するという、治療管理をアプリ単体で行うサービスだ。

もうひとつがアメリカMahana Therapeutics社の過敏性腸症候群(IBS)の軽減を目指す治療用アプリ「Parallel™ 」。これに関しては認知行動療法という精神的なアプローチを行いながら疾患のケアを行うアプリだ。

岡田氏はこれらの先行事例をもとに治療用アプリの2つの特徴を述べた。1つはデジタルツールを使って、患者が持つ特徴的な認知の傾向を正常な状態に変換すること、もう1つは患者の持つ価値観をデジタルツール用いて変えることで行動変容を起こしていくことである。海外では精神疾患や生活習慣病を対象として多くの製品が登場している。これらは開発コストが治療薬より格段に低く抑えられ、副作用も少ないというメリットがあるという。

■優れた治療用アプリを量産する“スーパーセラピスト”プラットフォーム構想


日本でもこのデジタルヘルスサービスの開発が進みつつある。患者とのタッチポイントが多いデジタルツールは、特に行動変容を起こして生活習慣を改善するサービスへの応用が期待されている。岡田氏はこのような行動変容支援型サービスの重要な3つのポイントについて次のように説明した。

「1つ目は患者の病期・病態に合わせた治療のゴールを正しく設定すること。2つ目は、その治療ゴールに向けて、セルフケアの各場面でとるべきアクションプランを適切に設定していくこと。そして、3つ目はその設定されたアクションプランを確実に行動につなげるために、心理ケア・コーチング等によって継続的な動機づけを行っていくことだ」

検査技術やデータ分析技術の向上によって、正しい治療ゴールの設定と日々のアクションプランの決定は確かなメソッドにありつつある。ただし、さまざまなライフスタイルやパーソナリティをもつ患者に画一的なアプローチは奏功しない。ここで重要になるのが臨床現場で当たり前に行われている動機づけ方法のパーソナライズをいかにデジタルツールで再現し、患者の手元に届けるかだ。

「診療現場で実践されている動機づけのノウハウをいかにデジタルアプリで再現し、実装するか。その開発戦略としてスーパーセラピスト構想を考えている。すなわち、患者の病態を適切に把握し、さらにはライフスタイルやパーソナリティを理解して適切に動機づけができるスーパーセラピストのナラティブ・アプローチをアプリで実現しようという試みだ。この開発ノウハウを体系化し、DTx、SaMD(Software as Medical Deviceの略、プログラム医療機器と同義)アプリを他疾患にわたって提供することで、医療の質全体の底上げに貢献できるのではないかと考えている」




さらに、このプラットフォーム自体が成長を続ける学習システムの実装も視野に入れる。

「スーパーセラピストをたくさん抱え、その技術を量産する研究のプラットフォームで、アプリを臨床現場で実装していきながら、患者さんの臨床体験を集め、そのデータを研究プラットフォームにフィードバックする。研究フィールドと臨床フィールドの二重のサイクルを相互に回しながら、デジタルヘルスのプラットフォーム事業を大きく伸ばしていきたい」

■治療用アプリが当たり前になる世界を目指して


ディピューラ社が目指すプラットフォームは、自社のアプリに加えて、サードパーティのアプリも含めたオープンエコシステムである。


多くの慢性疾患治療に共通で役立つモジュールライブラリを取りそろえることで、コストを抑え、かつ性能の高いアプリが取り揃えられた世界を目指すという。

データの収集、統合、解析といった力勝負のサービス開発は医療分野でも欧米のビッグテックが先行する。ディピューラ社はペイシェントセントリック医療・全人的医療をデジタルアプリで再現する上で欠かせないナラティブ・エビスド・アプローチの再構築に勝機を見出そうとしている。日本発の医療用プラットフォームからどのようなデジタルヘルスサービスが登場するのか、今後の動きに注目したい。

このセッションの見逃し配信をご覧になりたい方は、下記リンクからどうぞ!
配信セッション:OPTiM INNOVATION 2021 Final 「医療の未来 ~デジタルがつなぐ匠の智慧~」
配信期間:4月29日(金)まで
OPTiM INNOVATION 2021見逃し配信サイト

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