予防
Medical DX編集部 2022.6.14

Apple Watchの新OS「watchOS 9」に見る、さらなる「健康な心臓」への取り組み

前出記事のとおり、6月6日(アメリカ時間)に行われたAppleの開発者会議「WWDC 2022」において、秋から配布予定のApple Watch用の新OS「watchOS 9」の内容が明かされた。そのアップデートにおいて、Apple Watch Series 4以降で使用できる心電図アプリにおける、「心房細動履歴」の取得機能が追加された。

以前から、Appleはブリガム・アンド・ウイメンズ病院およびアメリカ心臓協会との提携による「Apple Heart and Movement Study」を展開し、その研究成果を発表するなど、心房細動の検出に対しての取り組みを強化している。そのために、スマートウォッチの世界シェア約半分を占めるApple Watchを、できる限り有効活用していこうという方向性が見てとれる。

■Apple Watchによる心房細動の早期発見を目指す試み


Appleの方向性は一貫している。2020年から、製薬大手Johnson & Johnsonの医薬品部門、Janssen PharmaceuticalがAppleとの研究プロジェクト「Heartline Study」を行っている。iPhoneのアプリ「Heartline Study」と、Apple Watchの心電図アプリの機能で、心房細動の早期発見を目指し、起こりうる脳卒中リスクを減少させるため、65歳以上の人を対象にして、ヘルスケアデータを収集するというものだ。

そのうえで、2021年11月にはJohnson & Johnson社のCEO(経営最高責任者)アレックス・ゴルスキーがAppleの取締役会に加わることになった。経験のある人間が加わることによって、Apple Watchをより強力なヘルスケアデバイスにしようという意図がくみ取れる。

また、他の研究機関からも、心房細動におけるApple Watchの有効活用例が登場している。最近ではアメリカのメイヨークリニックの研究チームが、Apple Watchの心電図機能を利用して、AIによって心臓のポンプ機能低下を検知するアルゴリズムを構築した、と発表した。本来なら身体各所に電極を装着する12誘導心電図検査を行うところ、Apple Watchによるデータと12誘導心電図検査のアルゴリズムを使って、検知を行えるようにするものだという。この研究が進むことによって、より簡易的に心臓の遠隔モニタリングが可能となるかもしれない。

メイヨークリニックによる解説動画

■日本におけるApple Watchの活用状況


さて、日本において、Apple Watchの心電図アプリは2021年1月から提供されている。SNSなどでは、実際にこの機能によって心臓の異常が見つかったユーザーたちの声が寄せられ、話題を集めている。

活用例としては、慶応大学病院で2021年2月からiPhoneとApple Watchを使った研究アプリケーション「Heart Study AW」での臨床研究を開始したことが大きなニュースとなった。
 
Apple Watchの心電図アプリは、心電図のPDFを医師と共有できるのが大きなポイントでもある。日本の代表的な例としては、東京医心会 ニューハート・ワタナベ国際病院があげられる。昨年の4月から心電図アプリで生成したPDFデータの受付を開始している。同院がメールやLINEで成人の心臓疾患の悩みを医師と無料で相談、即日の返信を行っている「無料ネット外来®」へPDFを送ることができる。
 
このように、日本でも活用例が増加しているApple Watch。今秋配布の新OS、また開発が進んでいると思われる新たなApple Watchの機能なども含め、ユーザーが健康な心臓を保つための施策がよりいっそう進むことが望まれるところだ。


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WRITTEN by

Medical DX編集部

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