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Medical DX編集部 2020.11.30

呼気からウイルス感染を判定、新型コロナの重症化リスク予測もできる新検査法

CONTENTS
  1. ■第3波が到来した新型コロナウイルス感染症
  2. ■呼気から新型コロナを検出! 未来型医療も視野に入れる新検査法

■第3波が到来した新型コロナウイルス感染症


11月中旬から新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染者数が再び増加しはじめた日本。新規感染者数が1日2,500人を超える日も出てきており、11月26日時点の感染者数は20,000人強と、まさに第3波到来といった様相を示している。

さて、その感染の有無を調べる検査法としては、ご存じのとおり、「PCR検査」が主流となっている。PCRとは Polymerase Chain Reaction(ポリメラーゼ連鎖反応)の略で、ウイルスの遺伝子を増幅して検出する方法のこと。試薬を混ぜる過程があることから熟練した臨床検査技師が必要であり、また検査のための特別な機器も必要である。さらに、結果が出るまで数時間を要し、それでいて偽陰性が生じる(どのような検査においても偽陰性は生じるものだが)ということから、PCR検査の拡大慎重派もいるが、コロナ感染の有無を知るには、ファーストチョイスの検査であることは間違いない。

ほかに、新型コロナウイルスに対する抗体を用いて抗原を見つける「抗原検査」も5月に保険認可された。こちらはPCR検査に比べると感度が劣る(偽陰性が多くなる)が、特別な検査機器や試薬を必要としないこと、30分程度で結果が出るというメリットがある。

ただ、いずれにもしても、いくつかのデメリットを抱えた検査法であることもまた事実である。そのため、より画期的な検査法や精度の高い検査法を発明すべく、さまざまな研究機関が開発に取り組んでいる。

■呼気から新型コロナを検出! 未来型医療も視野に入れる新検査法


そうしたなか、東北大学が島津製作所との共同研究により、自然に吐く息(呼気)から新型コロナウイルス感染の有無を調べられる検査方法を開発したことを発表、半年以内に薬事承認申請に入りたいとした。


この検査法は、まず検査対象者に5分程度、呼気回収装置(エアロゾル採取システム)に安静時呼吸で息を吐いてもらうことから始まる。この呼気を冷却凝縮し、約1mlの呼気凝縮液を抽出、これを「オミックス」と呼ばれる技術を用いて、ウイルスやウイルス感染に関連するタンパク質を抽出して解析するという仕組みだ。

「オミックス」とはタンパク質や代謝物などの生体分子を解析する技術のことで、吐く息を使用する「呼気オミックス」で新型コロナウイルスを検出する試みは世界初。肝心の精度はPCR検査と同レベルであり、医療現場でこの検査法が普及すれば約1時間程度で結果が出せるようになる。また、PCR検査より多くのデータが得られることから、新型コロナウイルス感染症の病期・病状の評価、重症化のリスク判定、予後・合併症の予測などをすることも可能だという。

東北大学と島津製作所は、新型コロナウイルス以外の感染症のほか、心臓病や脳卒中などの循環器系疾患、肺炎や気管支炎などの呼吸器系疾患、糖尿病などの代謝性疾患といった多くの疾患の診断への活用も期待できるとしている。さらには、呼気オミックスを活用した在宅での健康管理・健康診断などの遠隔医療を通じて、未病・予防と長寿に資する個別化未来型医療への展開も推進していきたいという。

新型コロナウイルス対策でありつつ、未来の医療への展開も視野に入れた、新たな検査法の早期の実用化を期待したい。


東北大学プレスリリース「息を用いた新型コロナ検査法を開発 -呼気オミックスによる未来型呼気医療への展開-」
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2020/10/press20201016-03-breathomics.html

WRITTEN by

Medical DX編集部

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