予防
Medical DX編集部 2020.7.15

早期発見から予防まで、医療検査にAIがもたらすもの

CONTENTS
  1. ■健康維持のための検査とAIの関係
  2. ■AIによって血液検査もスピードアップ!
  3. ■がんも早期発見!? 今後期待のAI検査
  4. ■AIが目指す「予防医療」

■健康維持のための検査とAIの関係


人々が健康を維持するための入り口となるのが、臨床検査ということになるだろう。

会社員なら、定期健康診断で1年に1回は検査をしているはずだ。さまざまな検査を行うことによって、個人個人が自分の健康状態を把握し、生活を改善して病気を予防したり、異変の早期発見につなげたりすることが可能となる。

この検査の分野でも、AI(人工知能)が使われるようになってきている。きめ細かい健康管理をするために、どういった場でAIが活用されているのか、その一例を紹介していこう。

まず、検査や診療の前に、多くの人が書いたであろう「問診票」。本人が、今の心身の状況、病歴などについての質問に答えるものである。

デジタル化した問診票であれば、患者は場所にこだわることなくタブレットをはじめとしたデバイスで回答することができ、医療機関側はその問診票をカルテなどに反映する際の手間がはぶけ、大幅な時間の短縮が図れる。

代表的なサービスとしては、Ubie株式会社の「AI問診Ubie」がある。従来の紙の問診票より深く広い聴取ができ、問診結果を独自のアルゴリズムで医療言語化してカルテに反映させることができる。また、ユニバーサルデザインを徹底しているので、高年齢の患者にも対応できるという。

■AIによって血液検査もスピードアップ!


医療機関での検査のなかで、最も身近なものは血液検査ではないだろうか。この血液検査にもAIが利用され始めている。

イスラエルのスタートアップSight Diagnostics社が始めた「OLO」は、患者の血液を数滴採取しカートリッジ化して、AIが血液成分の画像認識をするマシンである。

個体がコンパクトなことと、ラボに送らなくても検査結果が出る利便性がポイントだ。検査のスピードアップが図れることから、普及が期待される。

画像認識という意味では、広島の株式会社エムネスが行っている検診支援サービスは、医療機関がMRI・CT装置を持っていれば、脳ドック・肺ドックを簡単に実施できるシステムとして注目されている。

撮影した画像をクラウドにあげることで、画像診断専門医などによるチェックをし、遠隔診断をしてくれるため、病院内に専門医師がいなくてもよいという。


■がんも早期発見!? 今後期待のAI検査


このように、AIの機械学習による画像認識を活用した研究が全世界的に進んでいる。ここでは、検査にかかわる技術として、これからに期待がかかる研究をあげておこう。

順天堂大学大学院医学研究科は、シスメックス株式会社との共同研究によって、AI自動分析システムで血液疾患の鑑別診断に成功。血液形態検査の自動化と、AIスクリーニング診断支援の実用化が望めるとしている。

一方、医師によるベンチャー、株式会社AIメディカルサービスでは、内視鏡の画像診断支援AI(人工知能)の開発を行っている。

2018年に人工知能を使って、静止画から6mm以上の胃がんを98%の精度で発見(静止画1枚あたりの判定速度は0.02秒)したと発表。動画にも対応し、ハードウェア性能の向上とCNN(畳み込みニューラルネットワーク)モデルの進化から、大腸など他の臓器や、リアルタイムでの判定技術へも期待が高まる。

さらにAIメディカルサービスは、カプセル内視鏡画像の解析にも開発の手を伸ばしている。東京大学医学部附属病院消化器内科と協力して、患者が使用する2cmほどのカプセル内視鏡から送られてくる画像を解析、びらん・潰瘍を判断することができる。

■AIが目指す「予防医療」


検査結果の「その先」の道しるべにも、AIは活用されている。

たとえば、NECソリューションイノベータ株式会社による「NEC 健診結果予測シミュレーション」は、健康診断で得たデータから、将来の健康状態を予測するというものだ。過去の蓄積された定期健康診断のデータをAIが分析、現状の生活状態で進んだ場合の数値をシミュレーション、健康の課題を先回りして解決し、予防しようという試みである。

さらに検査し、AIによって先を予測することで、病気を予防する。そのサイクルをトータルでサポートする会員制サービスも出現。

CLAP株式会社による「Imperial Medical Club(インペリアルメディカルクラブ)」がそれだ。全国の医療機関・研究機関と連携し、先進医療をはじめとした予防・治療プログラムを一人ひとりに合わせて提供するサービスで注目を集めている。

健康なうちに病気を防ぐ──その希望を、近い将来、AIがもたらしてくれるかもしれない。


遠隔画像診断で医療の発展と個人の健康に貢献します | 株式会社エムネス Mnes Inc.
https://www.mnes.org/
順天堂大学・大学院
https://www.juntendo.ac.jp/university/
世界の患者を救う内視鏡AIでがん見逃しゼロへ | 株式会社AIメディカルサービス
https://www.ai-ms.com/
NECソリューションイノベータ
https://www.nec-solutioninnovators.co.jp/
CLAP株式会社
https://www.clap-global.com


画像:shutterstock
WRITTEN by

Medical DX編集部

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