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Medical DX編集部 2021.4.5

サイバーエージェントグループは、なぜオンライン診療・服薬指導に参入したのか?【MG-DX代表インタビュー】

CONTENTS
  1. ■患者の利便性を最大化するためのサービスを提供する
  2. ■オンラインによる診療から服薬指導、そして薬の受け取りまでを一気通貫
  3. ■声質や表情から感情を読み取るAIによるコミュニケーション支援
  4. ■オンライン診療も服薬指導も2021年から展開が広がる
インターネット広告事業の大手・株式会社サイバーエージェントが、薬局・ドラッグストアのDX推進を行うグループ会社として2020年5月に立ち上げたのが株式会社MG-DXだ。

新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、オンラインによる診療や服薬指導が広がりを見せるなか、MG-DXはどのようなサービスを展開し、どのようなビジョンを描いているのか? 代表取締役社長である堂前紀郎さんに聞いた。

■患者の利便性を最大化するためのサービスを提供する


――サイバーエージェントグループであるMG-DXが遠隔医療分野に参入された理由からお聞かせいただけますか?

堂前:じつはサイバーエージェント自体、もともとドラッグストア様とのお付き合いが多方面でありました。ドラッグストアビジネスを発展させるために、集客や販促のお手伝いなど、デジタルだけに限らず店頭での見せ方といったものまで含めてご一緒させていただいています。

これまではドラッグストアが取り扱う商品のなかでも日用品や化粧品などでのお手伝いが中心でしたが、ドラッグストアでは当然、お薬も取り扱っています。さらなるドラッグストアビジネスの発展方法を考えた際に、そのお薬領域に対して課題解決につながる事業が必要なのではと思い立ち上げました。

そして、具体的にどんなサービスが必要なのかを考えた際に、われわれは生活者、患者様のほうを向いている会社なので、そのお客様がより便利を感じられるように、店頭にいらっしゃらなくても薬を受け取れるサービスがあってもいいんじゃないかという発想から、文字どおり、薬を急いで届ける「薬急便」というサービスをつくっています。

――「薬急便」のほかに御社では「AI薬師」というサービスも提供されています。それぞれのサービスの位置付けはどのようなものなのでしょうか?


堂前:「薬急便」は患者様向けのサービスで、提携しているクリニック様や薬局様のオンライン診療・服薬指導の予約やお薬の手配ができるサービスです。

またサイバーエージェントはAIの会社でもあるので、オンライン診療やオンライン服薬指導をされる医師や薬剤師のコミュニケーションサポートのためのAIモデルを開発しているのですが、そのAIモデルを「AI薬師」と名づけています。

それぞれのサービスの役割をたとえると、「薬急便」はPCのようなハードウェアで、「AI薬師」はOSのようなソフトウェアだといえます。「AI薬師」のアップデートによって「薬急便」サービスは日々進化していきます。

■オンラインによる診療から服薬指導、そして薬の受け取りまでを一気通貫


――なるほど。それでは「薬急便」の特徴と現在のサービス展開状況はどうなっているのでしょうか?

堂前:「薬急便」はオンライン診療、オンライン服薬指導と全部つながっているのですが、そのサービスの特徴は、処方薬をお求めになっている患者様が、薬局やドラッグストアの店頭に行かなくても、いかに早く指定場所で処方薬を受け取れるかに主眼を置いたものだということです。「薬急便」をご利用いただければ、たとえばオンライン服薬指導の受診から処方薬の受け取りまでを、仕事や家事・育児などの隙間時間を利用して、場所を選ばずに行えるようにすることができます。

「薬急便」の利用シーンイメージ

そのため配送に関しては、即日配送にこだわって進めており、さまざまな配送パートナーと連携を広げているところです。また、薬品の配送という点から、通常の配送品以上に安心・安全が重要になるので、たとえば配達員は非喫煙者に限定するといったようなことまで配慮することを検討しています。

サービスの対象範囲は、現在東京都の一部エリアですが、近日中に複数エリアに拡大を予定しています。

――御社では「薬急便 for オンライン診療」というサービスの提供も始まりましたが、他社のオンライン診療サービスとの違いや特徴はどこにあるとお考えですか?

堂前:先にも述べたように、弊社のサービスはあくまで患者様を向いています。サイバーエージェントはもともとB to C のインターネットサービスを作ってきた会社なので、そこで培ってきたノウハウを活かして、患者様にとって本当に使い勝手のよいサービスを提供していきます。

オンライン診療〜オンライン服薬指導〜薬の配送までの利用イメージ

代表的な特徴としては、弊社のサービスはアプリ型ではなく、フルブラウザ型であるという点です。アプリであればダウンロードから始めなくてはなりませんが、フルブラウザであればそのサービスを知った瞬間から、たとえばクリニックのTwitterにURLが置いてあれば、そこからすぐにアクセスができます。

またテクニカルな話ですが、ブラウザ型のサービスでビデオ通話型のコミュニケーションを安定稼働させるのはかなりハードルが高いのですが、その部分をクリアできているという点も特徴といえます。

もうひとつ挙げると、クリニックにとって運用コストがとても安い料金プランになっています。また、患者様にとっても通信費やアプリ利用料といった細目が一切ない、大変わかりやすい利用料になっているので、安心してご利用いただけるかと思います。

■声質や表情から感情を読み取るAIによるコミュニケーション支援



堂前:オンライン診療の次の展開としては、クリニックと患者様とのコミュニケーションをAIで支援するというサービスにしていきたいと考えています。

たとえば、医師と話すときにどう伝えたらよいかわからないという患者様は多いのではないでしょうか。お腹が痛いときに「チクチク」なのか「ズキズキ」なのか。こういった患者様が伝えにくかったり、医師が理解しにくかったりする部分を、話しやすくかつわかりやすくするという支援をしていきたいですね。

――そのAIによるコミュニケーション支援とは具体的にはどういったものをイメージすればよいのでしょう?

堂前:オンライン診療やオンライン服薬指導でビデオ通話中の患者様の声質や表情などから、医師や薬剤師が話している内容を患者様がどのように受け止めているか、たとえば不安がっているのかなどを判定し、さらにそこから医師や薬剤師にどのような情報を患者様に伝えてあげるべきかなどをレコメンドするといったものをイメージしていただければと思います。2021年中にはこのサービスを出せればと考えています。そして、将来的にはオンラインに限らず、対面での外来でも使えるものにしていきたいですね。

■オンライン診療も服薬指導も2021年から展開が広がる



――「薬急便 for オンライン診療」の現在の導入状況はいかがでしょう? また今後の導入施設目標数はありますか?

堂前:現在、稼働準備中も含めて導入していただいているクリニックはまだ数施設です。ただ、数多くのクリニックからのお問い合わせをいただいています。われわれとしては、年内に300施設にまで増やしたいと考えて動いています。

またオンライン診療を普及させるためには、クリニックにとってもメリットが高まっていかなければいけません。たとえば時間あたりの患者対応数をどれだけ増やせるかはKPI(重要業績評価指標)のひとつでしょう。そのためには、医師やスタッフの皆さんにとっても使い勝手のよさが必要です。実際、他社サービスから弊社サービスに切り替えていただいたクリニックでは、以前と比べて130%増くらいの患者数に対応できています。

ほかには、オンライン診療をやりたい患者様を連れてくるという集客部分の支援もやらせてもらっています。リアル店舗での顧客接点とオンラインでの顧客接点は異なります。スマートフォンで検索して情報収集されるような、オンライン診療を使いこなせる世代、ネットリテラシーの高い世代はオンライン上ならではの絆の持ち方が必要になってくるので、そうした部分をお手伝いさせてもらっています。

――御社で展開されているオンライン服薬指導のサービスの広がりはいかがですか?

堂前:現在、稼働準備中を含めて数十店舗です。大手チェーンにも採用され、少しずつですが店舗数を拡大していく予定です。

――最後に、御社が医療DX分野でめざす将来像をお聞かせいただけますか。


堂前:弊社が提供するテクノロジーやサービスで、患者様が抱えている不安や、医師や薬剤師と患者様とのあいだのコミュニケーションをなめらかにしたいと考えています。そうすることで、日本人の健康寿命を伸ばすことにも、ひいては医療費抑制にも貢献できるのではと思っています。そのためにも、弊社は引き続き患者様を起点にしたサービスを構築していきます。

取材・文:編集部/撮影:齋藤葵

株式会社MG-DX
https://www.mg-dx.co.jp/
WRITTEN by

Medical DX編集部

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