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Medical DX編集部 2020.7.1

オンライン診療のこれまでと現状〜医療の未来への道程

CONTENTS
  1. ■「オンライン診療」の定義は?
  2. ■オンライン診療のガイドラインが作成されるまで
  3. ■ガイドライン作成〜アフターコロナへ

■「オンライン診療」の定義は?


本稿では、オンライン診療の成り立ちを説明する前に、オンライン診療の言葉の定義について解説する。

オンライン診療は、以前は「遠隔診療」と呼ばれてきたが、近年では、インターネットやIoTデバイスを介した診療全般を「オンライン診療」と呼ぶようになっている。
 

だが、厳密には、情報通信機器を活用した健康増進、医療に関する行為自体を「遠隔医療」と呼び、そのなかに「オンライン診療」、「オンライン受診勧奨」、「遠隔健康医療相談」の3つが含まれる。

オンライン診療遠隔医療のうち、医師-患者間において、情報通信機器を通して、患者の診察及び診断を行い診断結果の伝達や処方等の診療行為を、リアルタイムにより行う行為。

これが2018年に厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針」で示された定義である。

■オンライン診療のガイドラインが作成されるまで


それではまず、オンライン診療ができるまで、どのように議論されてきたかを振り返ってみよう。

1948年に成立・交付された医師法の第20条には、以下のような文章がある。

第二十条 医師は、自ら診察しないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方せんを交付し、自ら出産に立ち会わないで出生証明書若しくは死産証書を交付し、又は自ら検案をしないで検案書を交付してはならない。但し、診療中の患者が受診後二十四時間以内に死亡した場合に交付する死亡診断書については、この限りでない。

簡単に言えば、無診療の治療行為を禁止している、ということになる。

1970年代となると、医事システムが普及しはじめることで、遠隔診療への取り組みも開始された。

1996年、厚生省(現・厚生労働省/以下、すべて当時の名称とする)で遠隔医療研究班が作られたことで本格的に動き始め、翌97年に厚生省健康政策局長通知で「情報通信機器を用いた診療」が出されることになった。

そこでは、遠隔診療は、あくまで直接の対面診療の補完であるが、直接の対面診療に代替し得る程度の患者の心身の状況に関する有用な情報が得られる場合、遠隔診療は直ちに医師法第20条等に抵触しない、とされた。

こうして、「初診・急性期の疾患に対しては、原則対面診療」としたものの、離島、へき地の患者の場合などと、在宅糖尿病などの患者(※)について、初めて遠隔治療が認められた。

その後、幾度かの改正を経て、スマートフォンなどが一般に浸透した2015年、厚生労働省事務連絡にて「遠隔医療は、直接の対面診療を行った上で行わなければならないものではない」ことが明確化。これにより、遠隔診療のサービスが増加することになる。

その一方で、翌年2016年には厚生労働省医政局医事課長通知で、メール・SNSなどによって得られる情報だけで診療する場合、対面診療を行わず遠隔診療だけで診療を完結させる場合は医師法違反になりうる、という見解が示された。

だが、2017年、「規制改革実施計画」が閣議決定される。それによって、厚生労働省医政局長から、以下の緩和策が示される。

  • 禁煙外来については柔軟に取り扱えること
  • 患者側の理由で診療が中断した場合、テレビ電話・SNSなどの情報機器での遠隔診療は、直ちに医師法20条の違反にはならないこと

しかし、対面診察が行われなかったり、オンライン診療もチャットのみで完結してしまったり、という問題行動もおきたため、信頼性ある遠隔診療の推進のため、一定のルールを求める声があがった。

それにより、さまざまな有識者があつまり、情報通信機器を用いた診療に関するガイドライン作成検討会が開かれ、検討が重ねられた結果、2018年3月に厚生労働省より「オンライン診療の適切な実施に関する指針」が発表されたのである。

■ガイドライン作成〜アフターコロナへ


「オンライン診療の適切な実施に関する指針」は厚生労働省のホームページで全文を見ることができる。

大きなポイントとしては、次の3点があげられる。

  • 初診時は対面診療で、患者の同意を得ること
保険医指導の禁煙治療はのぞく。医療の質を保つため、初診は対面し、患者本人の同意を得て、診療計画書(電磁書式が望ましい)を立てる。

  • オンライン診療はビデオ(テレビ電話)での診察を主とする
オンラインを利用して、可能な限りの情報を得るためには、聴覚だけではなく、視覚情報も必要である。

  • 所在地の自由
医師も医療機関に絶対にいなくてはいけないわけではない。ただし、医療機関にアクセスしやすい場所にいることがあげられる。

これに先だって、2018年の診療報酬改定が行われており、オンライン診療を行う場合、医療機関での算定も設定されたことで、道筋が整った。

しかし、保険点数が少ないこと、また保険適用の疾患数が少ないことなどの問題から、オンライン診療が一気に浸透する、というところまではいかなかった。

これを鑑みて、2019年7月には厚生労働省が初診でもオンライン診療が可能なケースなどを示し、さらに続く2020年度の診療報酬改定では、慢性頭痛などの疾患の保険適応を認めるなど、少しずつ改善がはかられている。

また、この2020年4月10日には「新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて」を出して、時限的に初診でもオンライン診療を許可し、それには電話での診療も含めることを示した。

アフターコロナにおいて、社会全般が変わりつつあるなか、オンライン診療には大きな可能性が示されている。

新たな動きが起こり次第、今後も当サイトで紹介していく。

※在宅酸素療法を行っている患者、在宅難病患者、在宅糖尿病患者、在宅喘息患者、在宅高血圧患者、在宅アトピー性皮膚炎患者、褥瘡のある在宅療養患者、在宅脳血管障害療養患者、在宅がん患者


厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針」
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000201789.pdf
厚生労働省「新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて」
https://www.mhlw.go.jp/content/000620995.pdf
WRITTEN by

Medical DX編集部

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