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Medical DX編集部 2020.11.30

ついにベールを脱いだ国産初の手術ロボット!「hinotori サージカルロボットシステム」製品発表会レポート

■手術全体のDXも実現させる手術ロボット「hinotori」


国産初の手術支援ロボットとして関心を集めてきた「hinotori サージカルロボットシステム」の製品発表会が、2020年11月18日、株式会社メディカロイド、その出資元である川崎重工業株式会社とシスメックス株式会社の3社共催で開催された。

コロナ対策がしっかりとられたうえで製品発表会が実施された

手術支援ロボットとしては、Intuitive Surgical社の「ダヴィンチ」が市場において大きな存在感を放っているのが現状である。この牙城を「hinotori サージカルロボットシステム」がいかにして崩すかに注目が集まっている。製品発表会では、まず「hinotori サージカルロボットシステム」の特徴が、ロボット実演を交えながら説明された。
提供:メディカロイド

「hinotori」の構造自体は、「ダヴィンチ」同様、4本のロボットアームを備えつけたオペレーションユニットと、それらのアームを執刀医が操作するサージョンコックピットからなる。

4本のアームは、左から2番目に内視鏡カメラが設置されており、その右側と左側にロボット鉗子を装着する。一番右端のアームには、手術中に組織などをつかむ手術器具を装着。つまり、人体の構造同様、中央に視点が確保され、右手と左手でロボット鉗子を操る形になるので、違和感なくスムーズに操作できるのだ。また、アームの太さは人間の腕とほぼ同じ、関節数も8つにしたことで、アーム同士やアームと助手の医師との干渉を低減させ、より滑らかな動きを実現させたという。

サージョンコックピットにはアームを操るハンドローラー、アームの切り替えを行うフットペダル、そして高精細な内視鏡画像を3Dで映し出す3Dビューアがあり、いずれも人間工学に基づいた設計で、執刀医が長時間の手術であっても最適な姿勢がとれるようにしている。

また、「hinotori サージカルロボットシステム」の大きな特徴として、手術全体のDXを実現させるネットワークサポートシステム「Medicaroid Intelligent Network System」( MINS)が標準装備されていることが挙げられた。

このMINSが装備されることで、手術前や手術中などにロボットがつねに正常に稼働しているかを、ロボット、内視鏡画面、手術室全体の映像などから、メディカロイドのセンターなど外部でも確認することができ、リモートサポートによってリアルタイムでのトラブル解決を図ることができるようになる。また、データ解析による手術の効率化も可能になり、ベテラン医師の手術データを蓄積することで、若手医師の研修トレーニングなどに活用することもできるようになるという。

●「MINS」についての詳しいレポートはこちら
「hinotori」はネットワーク接続で遠隔での管理や手術データの蓄積も可能に

■12月には初の手術も決定! 「hinotori」の可能性とは?


手術支援ロボットの市場規模は現在、グローバルでは5500億円、日本国内で200億円といわれている。しかし、今後いずれも15%前後の伸びを示すと考えられており、2030年にはグローバル市場で2兆円、国内市場で1100億円と見積もられている。特に国内は、保険適用の術式が増えていくことが想定されているため、その伸び率はグローバルを上回るとみられている。

この市場において「ダヴィンチ」が大きなシェアを誇っているのは事実。だが、日本で「ダヴィンチ」を導入するには、サイズの問題から専用手術室が必要なこともあって購入費・維持費ともに高コストであったり、また保険適用の範囲が狭かったこともあって稼働率が世界最低水準にあった。

メディカロイドでは、病院の経営課題に寄り添った導入プランの提案、トレーニングセンターの整備などを通じた運用開始へのサポート、ユーザーの要望に応える顧客密着型の運用サポート、そして安心して手術を行うことができるリモートサポートなどを通じて、「hinotori」の認知・浸透を広め、2030年度には売上高1000億円を目指すという。

そして12月には、神戸大病院国際がん医療・研究センターで「hinotori」を使った初めての手術が行われることが決まった。前立腺がん患者の治療に活用されるという。メディカロイドではまず泌尿器科系で「hinotori」を運用してもらい、他領域への拡大を目指すという。

こうして、ついに医療現場に登場することが決まった「hinotori」。国産初の手術支援ロボットとしてその船出は大いに期待されるが、メディカロイドは「hinotoriはこれで完成形ではなく、進化する」という。標準装備されているネットワークサポートシステムである「MINS」を活用すれば、5Gの普及とともに遠隔治療や遠隔手術も視野に入ってくる。まさに、医療DX時代の手術支援ロボットとして、「hinotori」は大きく羽ばたこうとしているといえるだろう。
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Medical DX編集部

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