ニュース
Medical DX編集部 2020.10.21

医療分野でも大きな可能性をもつ「デジタルレプリカ」とは?

■「デジタルレプリカ」とは何か?


「デジタルレプリカ」という言葉をご存じだろうか?

意味するところは、近年耳にする機会が増えている「デジタルツイン」と同じと考えてもらってよいだろう。IoTAIなどに代表される先進テクノロジーは、さまざまな業種・業態の発展を推進しているが、そうしたなか、注目されているのが、この「デジタルツイン」である。

「デジタルツイン」とは、文字どおり、「デジタルの双子」という意味だ。現実の世界からIoTなどの技術で収集したさまざまなデータを、まるで双子であるかのように、サイバー空間(コンピュータ上)に再現する技術・概念のことである。

たとえば製造現場であれば、工場の製造設備や検査機器などがIoTでつながり、情報が収集され、クラウド上のサーバに蓄積されている。このリアルな製造現場の情報をもとに、サイバー空間に「製造現場の現状を再現する」のである。しかも「デジタルツイン」は現場とリンクしていることから、現実の製品に直接手を加えることなく、ほぼリアルタイムでシミュレーションを実施できる。

この「デジタルツイン」を活用することによって、サイバー空間で新製品を設計し、効率的な製造工程をシミュレーションしたり、モニタリングデータをもとに現場の本物と連動した仮想モデルをつくって分析したり、将来の設備の故障などを予測し、より正確な予防保全を実施できるようにしたりすることが可能になる。

製造業では、「デジタルツイン」を導入することによって、下記のようなことが実現可能になるとされている。

①製造設備の修理や部品交換などの保全を目的としたメンテナンス(予防保全)②データを分析した結果を新製品の設計へとフィードバックすることによる品質向上
③設計や製造のコストダウン
④開発や生産に要する期間の短縮
⑤適正な生産管理や在庫管理

■「個別化医療」を「デジタルツイン」が実現する!?


そして、この「デジタルツイン」の活用は、医療業界においても大いに期待されている。

たとえば、医療機器メーカーのデジタル化を支援する各種ソリューションを提供しているシーメンスPLMソフトウェア社は、医療機器開発の企画・製造・活用の各段階における「デジタルツイン」を実現することで、イノベーションサイクルにかかる時間を大幅に短縮できるとして、そのためのプラットフォームを展開しようとしている。

ほかにも、病院の「デジタルツイン」を実現することで、医療スタッフや患者、医療機器や医療器具、医療用品などの場所情報・時間情報を収集したり、職員や患者の健康情報を常時取得したりするなどして、病院業務のアクティビティを見える化し、スマートホスピタルを実現しようとする実証実験が、株式会社WHEREのIoTインフラ「EX Beacon プラットフォーム」によって行われている。

そして、人間もこの「デジタルツイン」の対象になりうる。現在、医療において革新が進むゲノム研究、AIによる健康管理といった技術開発、ロボット技術。これらを進めることで、人体の情報を「デジタルツイン」化させることも十分に可能となるだろう。

個人に応じた臓器や骨などを3Dプリンタで作り出すといったことも実現できるだろうし、製造業における予防保全のように、健康管理の数値から未病状態の早期発見なども実現できるようになるだろう。

近年の医療トレンドである「個別化医療」を実現するうえで、人体の「デジタルツイン」は大きな力となりうるといえるだろう。クラウド上にあなたの人体情報をもった「デジタルレプリカ」が存在するーーそんな未来が待っているかもしれない。
印刷ページを表示
WRITTEN by

Medical DX編集部

医療テクノロジーの活用についての情報をさまざまな視点からお伝えしていきます。
他カテゴリの記事を読む

DXによる医療・ヘルスケアの
変革を伝えるメディア

会員登録

会員登録していただくと、最新記事を受け取れたり、その他会員限定コンテンツの閲覧が可能です。是非ご登録ください。