ニュース
加藤 泰朗 2022.6.21

脳の健康を《見える化》するトータル予防ソリューションをSplink、ミレニアとPSPが提供開始

■AI画像解析×認知機能チェック×PHRのソリューション


体温や血圧を測定するように、脳の健康も誰もが簡単にチェックできるようになるかもしれない。

Splinkとミレニア、PSPの3社は2022年5月20日、3社連携によるサービス提供体制を整備し、脳の健康状態を包括的に《見える化》して生活習慣の改善・予防促進までシームレスにつなげるソリューション「ブレインヘルスケア・プログラム」の提供を開始したと発表した。

Splinkはブレインヘルスケア領域の医療AIスタートアップ。ミレニアは「日本の医療・看護のしくみを最高レベルにすること」をパーパスに掲げる訪問看護事業者、PSPは医用画像システム・AI開発支援プラットフォームPHR(Personal Health Record)サービスを開発・提供する企業だ。

「ブレインヘルスケア・プログラム」は、3社がこれまで独自に開発・提供してきたプロダクトを連携させることで、脳の健康状態をトータルに把握し、予防に活かすことを可能にするサービス。健常者を対象としたものでは、世界初の試みだという。

■認知症対策は脳の異常の早期発見・介入が大切だが、課題も


日本は社会の高齢化が急速に進み、それに伴い認知症患者の増加が社会問題になっている。認知症とは、疾患や障害、遺伝的要因、ストレスなどによって認知機能が低下し、日常生活全般に支障が出る状態のこと。

最近の研究では、脳の健康状態には可塑性があり、異常の早期発見・介入をすることで、認知症の進行をある程度、遅らせられることがわかってきた。

つまり、若いころから脳の健康状態を適切に評価し、脳によい生活習慣へとつなげていくことが、認知症発症予防はもちろんのこと、そのほかの脳疾患や精神疾患の予防という点からも重要ということだ。

一方で、脳の異常の早期発見・介入には課題もある。

認知症患者の脳は、認知機能低下が明らかになる10年以上前から萎縮が始まっているといわれるが、これまでの技術では、40〜50代など若年層の脳の萎縮を十分に評価できなかった。

また従来の認知機能検査は、健康状態や微細な認知機能低下の測定には不向きなこと、脳の健康にかかわる疾患は、診察時の指導だけでは患者の生活習慣を改善・予防促進につなげづらく、継続的な状態把握や疾患リスクの管理ができないことなども、脳の異常の早期発見・介入をむずかしくしていた。

■脳の健康状態の把握から予防までをシームレスに連携


「ブレインヘルスケア・プログラム」は、「器質的変化の把握」「機能的変化の把握」「PHRによる医療情報管理」から、これらの課題に挑戦する。

「器質的変化の把握」を担うのは、SplinkのAI画像解析プロダクト「Brain Life Imaging」。脳MRI(器質的画像)をAIで解析し、脳のなかでも記憶や学習にかかわりの深い海馬領域の体積を測定・可視化し、受診者目線のわかりやすいレポートを作成することで気づきを促す、脳ドック用AIプログラムだ。

「機能変化の把握」は、国内の脳ドック実施施設で標準検査項目として広く採用されている、ミレニアの簡易認知機能スケール「あたまの健康チェック」が受け持つ。近似記憶や決断にかかわる機能を経定量評価し、これまで評価の困難であった健常域における微細な認知機能の変化を高い精度で評価できるスケールで、認知機能検査では200万件以上の検査実績をもつ。

「PHRによる医療情報管理」には、PSPによる医療情報管理アプリ「NOBORI」を活用する。患者自身が蓄積された記録を適宜スマートフォンで見直すことができるアプリで、今回のプログラムでも脳の健康に関する予防促進・生活習慣の改善に寄与することが期待される。

加齢や生活習慣とともに知らず知らずに変化していく脳の健康状態を、器質面・機能面の両面から高精度かつ包括的に可視化し、予防促進・生活習慣の改善へとシームレスな体験へとつなげる「ブレインヘルスケア・プログラム」。

いつでもどこでも気軽に脳の健康状態をチェックする日常は、すぐそこまで来ている。


印刷ページを表示
WRITTEN by

加藤 泰朗

1973年生まれ。人文系・建築系・医学看護系の専門出版社を経て、独立。
フリーランスとして、編集・ライティングを行う。
難しいことを楽しく、わかりやすく伝えることを大切にしています。
他カテゴリの記事を読む

DXによる医療・ヘルスケアの
変革を伝えるメディア

会員登録

会員登録していただくと、最新記事を受け取れたり、その他会員限定コンテンツの閲覧が可能です。是非ご登録ください。