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加藤 泰朗 2021.12.16
日本の医療AI最前線

AIを使ったアプリで日々の食事・栄養管理を無理なく実現!

普通に毎日3食の食事を考えることだって大変なのに、健康管理のための食事となると「何をどう食べたらよいのかわからない」と悩む人も多いだろう。こうした日々の食事に関する苦労をAIの力でサポートしてくれるアプリが続々と登場している。注目のアプリを3つ紹介したい。

■医療施設でAI献立・栄養管理支援アプリの提供を開始


ヘルスケアスタートアップ・おいしい健康は2021年11月25日、同社が開発したAI献立・栄養管理支援アプリ『おいしい健康』の病院施設での提供を開始すると発表した。


患者向けの療養食は、疾患によって栄養バランスやエネルギー量、塩分量など考慮しなければいけないことがさまざま。家庭で食事内容を適切に管理することは至難の業だ。同社は、医療機関や薬局を通じて患者やその家族にアプリを利用してもらい、献立立案の負担軽減につなげる狙いだ。

同アプリは、利用者の健康状態や疾患、食の好みなどに合わせた最適な献立・レシピをAIが提案する、パーソナライズ食事管理サービスである。

対応できる食事支援は、ダイエットから、メタボや高血圧、中性脂肪など健康診断結果で気になる数値のある項目、糖尿病(2型)や高血圧などの生活習慣病、狭心症などの循環器疾患、潰瘍性大腸炎(寛解期)などの消化器疾患、慢性腎臓病など、56テーマ。

アプリに利用者の疾患の悩みや身長、体重などの情報を入力すると、一人ひとりに合った食事基準をアプリが自動で算出。厚生労働省が公表する「日本人の食事摂取基準」や各疾患の診療ガイドラインに準拠した食事、医療機関から指示される食事療法の内容にもとづきながら、1万品の管理栄養士監修レシピと50万件の疾患別メニューから、患者の食事基準に合った栄養価・物性を備えるレシピと献立をAIが提案してくれる。患者の食事基準は、かかりつけ医・管理栄養士によってカスタマイズが可能だ。

冷蔵庫の食材や食の好み、料理の腕前なども考慮して献立を自動で提案・作成してくれるので、家庭でも食事管理を手軽に実践できる。そのほかにも面倒な栄養計算や買い物リスト作りをすべて自動で行う機能も備えている。

提供可能な医療施設は、病院および診療所(内科・外科全般、産科・透析施設など含む)、訪問診療・在宅診療、健診センター、歯科、調剤薬局、健保組合など。まずは、クリニック(糖尿病内科・産科など)、調剤薬局、健診センターなど24施設での提供からスタートし、2022年には100施設以上をめざす。

■記録の手間を軽減し、簡単に栄養指導が受けられる


栄養管理やダイエットには、食事の記録が欠かせない。だけどひとつひとつ記録するのは面倒……。そんな悩みに応えるのが、askenが提供するAI画像解析技術を活用したオンラインサービス『あすけん』だ。2021年11月時点で、ダイエットニーズのある健康な人を中心として、登録会員650万人が活用する、国内最大級の食事管理アプリである。


askenは、社員食堂や学校給食の受託運営など、食とホスピタリティに関連したさまざま事業を展開するグリーンハウスが100%出資する子会社。約2000人の管理栄養士・栄養士が在籍し、栄養学の知見とAIをかけ合わせ「ひとびとの明日を、今日より健康にする」ことをミッションに掲げている。

アプリ操作はいたって簡単。日々の食事を写真で撮影するか、10万以上登録されているメニューから選ぶと、摂取したカロリーや、炭水化物や脂質など14種類の栄養素と食事のバランスが瞬時に表示される。数値をもとにAI栄養士「未来(みき)さん」が、ときには褒め言葉を交えながら、無理なく続けられるためのアドバイスをくれる。

同社は2021年12月8日、あすけんの特徴を活かし、新たに糖尿病の治療における食事療法に最適化した栄養食事指導を補助するスマートフォンアプリを、京都大学と共同開発したと発表した。京都大学医学部附属病院、京都桂病院、北野病院、神戸市立医療センター中央市民病院の4病院で、効果を検証する臨床試験を開始。2021年度中に2型糖尿病患者を対象として同アプリの体重減少効果を検討する特定臨床研究をスタートさせる予定だという。

■写真撮影だけでAIが画像解析、健康記録に自動変換


記録をつけるという行為にさらに進化させたのが、AIやテクノロジーで世界中の人々の健康を食事から変えていくことをめざすライフログテクノロジーの健康アプリ『カロミル』だ。

あすけん同様に写真撮影で記録管理ができるが、カロミルの優れたところは、写真を撮影しておけば、アプリを起動したタイミングでカメラロールから自動で写真を選択、AIが画像解析し、健康記録に変換してくれる点だ。

対象となるのは、食べ物の写真だけでなく、血圧計や体重計などの測定機器の画面の写真も画像解析し、体重・血圧・血糖値を自動で記録できる。

もちろん優れているのは操作性だけではない。主要7項目(カロリー、タンパク質、脂質、炭水化物、糖質、食物繊維、塩分)+ビタミンやミネラルなど12項目を解析し表示するほか、独自のAI機能で3カ月後の体重予測や食事記録・運動記録をもとにしたダイエットに向けたアドバイスを掲載するなど、機能も充実している。


こうした機能は医療現場でも評価されており、2021年10月には、同アプリを活用した研究論文(獨協医科大学「肝硬変患者の食事管理と影響」に関する研究論文/順天堂大学「糖尿病患者の食事管理」に関する研究論文)が相次いで公開された。

それに先立つ2021年7月には、病院・介護施設での栄養給食業務をバックアップする大和電設工業のトータルシステム「ニュートリメイト」とカロミルとを連携。ニュートリメイトのオプション機能のひとつである「栄養指導システム」にカロミルで記録したデータを取り込むしくみを構築している。ニュートリメイトは大学病院の国内シェア45%をもつシステムで、今後上記のようなカロミルを活用した大学病院での研究も進んでいくことが期待される。

■食事管理・栄養指導は継続が大切


食事管理・栄養指導でもっとも大切なことは続けられること。どんなによいアドバイスでも、継続し続けるしくみになっていなければ意味がない。紹介した3つのアプリは、すべて「続けられない」という課題に応えている。

からだの不調はある日突然やってくるが、不調の原因は、日々蓄積されているものが多い。いずれのアプリも健康時から活用できる。この機会にお好みのアプリで自分の食事を見直す習慣づくりにチャレンジしてみてはいかがだろうか。


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WRITTEN by

加藤 泰朗

1973年生まれ。人文系・建築系・医学看護系の専門出版社を経て、独立。
フリーランスとして、編集・ライティングを行う。
難しいことを楽しく、わかりやすく伝えることを大切にしています。
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