ニュース
Medical DX編集部 2021.11.25

スマホで慢性疼痛の「痛み」の変化を可視化〜「いたみノート」のAndroid版がリリース

身体が異変を伝えるときに生じる「痛み」。だが、自分の痛みを人に伝えることは難しい。痛みはあくまで個人的なものであり、訴えるニュアンスや、受け取る側の捉え方によっても変わってくる。

国際疼痛学会が2020年に改定した「痛みの定義」によれば「実際の組織損傷もしくは組織損傷が起こりうる状態に付随する、あるいはそれに似た、感覚かつ情動の不快な体験」としているが、そのなかで「痛みは常に個人的な経験であり、生物学的、心理的、社会的要因によって様々な程度で影響を受けます」など、6つの要素を付記しており、ひとくちに痛みといっても、実に複雑なものであることを示している。

なかでも、より複雑な症状が慢性疼痛だ。炎症や刺激による痛みや、何らかの要因によって神経が障害されて起こる痛み、心理・社会的な要因で生じる痛みなど、あらゆる要因が複合的に絡み合い、それが慢性的に続く。その痛みのためにQOLが著しく低下し、日常生活に大きな支障をきたす場合も少なくない。

慢性疼痛は日本国内で13.4%、約1700万人の人々が持っているとされ、痛みが改善しない人は77.6%との調査結果もあるという。痛みが伝えづらいものであることを差し引いても、日本人の傾向として「少々の痛みなら」と我慢してしまい、医療機関の受診を控えてしまうケースが多い。

そうした慢性疼痛の対策に一石を投じるかたちで登場したのが、順天堂大学医学部附属練馬病院メンタルクリニックによるスマートフォンアプリ「いたみノート」だ。

ビッグデータ研究的なアプローチによって、疾病に対する疑問を究明する可能性のひとつとして、日常生活の行動の観察を行えること。そして、パーソナライズされた慢性疼痛対策を行えるようになることが、このアプリの開発理由だという。

アプリの特徴として、日常生活の情報(運動量、睡眠、気象など)と痛みのフェイススケールを連動させて、痛みの変化を可視化。これを「痛み日誌」として活用し、重症化の予防および疼痛のセルフコントロールに役立てられることだ。さらに、アプリユーザーに慢性疼痛、睡眠障害やうつの評価がフィードバックされる。最終的にはこの収集された情報をビッグデータで解析し、慢性疼痛が増悪する要因究明につながるという。

2018年にiOS用として公開され、これまでに4000人超の登録、利用があったこのアプリが、10月20日からAndroid版の公開にいたった。Android版では臨床研究プラットフォーム「ResearchStack®」を利用、これまでiPhone版の運用結果を踏まえて、ユーザーが痛みや天気、歩数の相関を理解しやすいようなグラフ画面を搭載した。

現在、国内スマートフォンのシェアはiOSとAndroidでほぼ半々と言われている。この半数のシェアもカバーすることで、より慢性疼痛を持つ人々に寄り添うアプリとして利用されることが期待されるところだ。

印刷ページを表示
WRITTEN by

Medical DX編集部

医療テクノロジーの活用についての情報をさまざまな視点からお伝えしていきます。
他カテゴリの記事を読む

DXによる医療・ヘルスケアの
変革を伝えるメディア

会員登録

会員登録していただくと、最新記事を受け取れたり、その他会員限定コンテンツの閲覧が可能です。是非ご登録ください。