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Medical DX編集部 2021.11.26

血糖値モニタリング技術の今〜スマホで確認可能なシステムと、スマートウォッチでの測定研究

持続血糖測定器の最新型「Dexcom G6 CGMシステム」


糖尿病と闘病する人たちの日常にかかせないのが血糖測定だ。とくに治療薬を使わねばならないケースにおいては、血糖値は複雑な上下動をすることも多い。血糖値は目に見えないものなので、実際に血液から測定しなければいけない。

90年代以降から簡易血糖測定器が浸透したことにより、医療機関に行かずに自分で血糖値を確認する血糖自己測定=SMBG(Self Monitoring Blood Glucose)が容易になった。現在は指先に穿刺して、ごく少量の血液を採取することで血糖値を測定できるようになっている。

しかし、やはり痛みを伴うことや、あくまで採血時のデータしかとれないという難点がある。患者によって使用している治療薬や生活時間によって測定するタイミングも変わってくるし、睡眠時の低血糖などに対応することは不可能なのだ。

こういったことから、近年は針がついたセンサーを身体に装着、血糖値とほぼ同様の動きを示す、皮下の間質グルコース値を測定し、モニタリングする方式が注目を浴びている。それが持続グルコースモニタリング=CGM(Continuous Glucose Monitoring)、フラッシュグルコースモニタリング=FGM(Flash Glucose Monitoring)と呼ばれる2つの方式だ。

そのうちのひとつ、CGMシステムのなかで、米Dexcom社の最新型持続血糖測定器「Dexcom G6 CGMシステム」が、テルモから今年の7月に日本発売された。2019年に日本で発売された「Dexcom G4 PLATINUMシステム」の後継機種で、腹部などに貼り付けたセンサーで連続的に測定したグルコース濃度が、5分おきにモニターや専用アプリをインストールした汎用のスマートデバイスに自動送信され、リアルタイムで数値の変動を確認できる。

最新型「G6」の特筆すべき点は、これまで専用モニターでしか確認できなかった数値が、スマホなどで確認できるということ。そして、この数値がアプリを介して、測定値を5人まで共有可能となり、医療機関などと連携して遠隔診療などへの活用が想定できる(ただしCGMは、SMBGを行って値を補正する必要があるところには注意しておきたい)。

また、独自のアルゴリズムによって20分以内に低血糖になる可能性を予測し、「緊急低値リスクアラート」を知らせることで、低血糖による意識レベルの低下などの症状を予防することが期待されている。

隠れた症状を知るために──スマートウォッチでの血糖値測定はどうなる?


と、ここまでが、糖尿病と診断された場合におけるモニタリングデバイスの話だ。

糖尿病をはじめとする生活習慣病が怖いのは、自分が気づかぬうちに症状が悪化している、というケースが多いことだ。数々の合併症を引き起こす糖尿病は、症状が出る前、早め早めの対応が必要となる。

だが、糖尿病予備群とされる人々や、食後に血糖値が急上昇する「隠れ糖尿病」をはじめとする、無自覚の糖尿病罹患者も多く存在するとされる。こうした人々へのモニタリングシステムがあれば、早めに自身の体調の変化にに気づげるかもしれない。

そこで注目されているのが、普及が進むスマートウォッチ/スマートバンドの存在だ。日用品として身につけるものであれば、気軽な感覚で自身の健康状態をモニタリングする習慣がつくからだ。

だが、なかなかIT大手の開発も進んでいない現状だと言わざるを得ない。既報の通り、サムソンは体内に針を入れない非侵襲型の血糖測定を、「ラマン分光法」に基づいてマサチューセッツ工科大学と研究を行っている。「GalaxyWatch」シリーズへの搭載が噂されていたが、今年9月に発売された最新シリーズ「Galaxy Watch4」には搭載されなかった。

Apple Watchも同じく非侵襲型の血糖測定を目論んでいる。Appleでは、かねてより吸光分光法を用いて接触をせずに物質の濃度を特定することができる技術の研究が進んでいる、とされてきた。それがここへきて、Appleのサプライヤーが、健康機器に一般的に使用されているタイプの短波長赤外線センサーの開発に着手したという情報が、一部メディアで報じられたのだ。このことから、近い時期に血糖値測定が搭載されるかもしれない、と一部で噂されている。

もちろん、スマートウォッチによるこれらの測定法が、医療機器として認定される日はまだ先のことだろう。しかし、日常のヘルスケアに果たす役割は大きなものになるはずだ。今後の研究がどう進んでいくか、注目したい。

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