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加藤 泰朗 2021.8.13

患者、医療機関、製薬企業をつなぐ「Connected Health」。情報共有で効率的・効果的な医療サービスの提供をめざす

■「Connected Health」実現で、3つの医療的課題に挑む


デロイトトーマツのグループ会社、デロイトトーマツコンサルティングは2021年7月30日、患者と医療機関、製薬企業などをデジタルでつなぐサービス「Connected Health」の提供を開始すると発表した。

予防、診断、治療、予後管理など、現在、健康・医療のあらゆるシーンでデジタル技術は活用されている。一方で、ひとりの患者が疾患に気づき、医療機関を受診し、治療を受けて、治療後に元の生活に戻るまでの一連の道のり(ペイシェントジャーニー:Patient Journey)に注目すると、各シーンにさまざまな医療従事者やアプリなどのサービスがかかわることで、情報共有・管理ができない、医療機関外での行動は患者任せになっているなどといった問題点も多く、デジタルを活かした効率的・効果的な医療サービスの提供とはほど遠い状況になっている。

「Connected Health」は、こうした現状をふまえ、分断された患者、医療機関、製薬企業など、ヘルスケアにかかわるステークホルダーを双方向につなげることで、患者価値の最大化を図るサービスだ。デロイトトーマツコンサルティングは、このサービスを実現することで、医療が抱える3つの課題、すなわち「社会の高齢化に伴う健康寿命の最大化」「医療アクセスの不便さ」「テクノロジーの進化による患者の新しい価値観への対応」の解決をめざす。


■慢性疾患、起床疾患の療養・治療の課題


今回、同社が提供するサービスは、とくに患者接点の深化が求められる製薬企業を支援するもの。糖尿病やリウマチ、乾癬(かんせん:免疫異常が原因で赤い発疹が生じる皮膚疾患)などの慢性疾患、希少疾患など、長期間の治療が求められる疾病を中心に、分断された個々の情報やサービスをつなげ、患者視点に立ったより効率的・効果的な医療提供を可能にする。

慢性疾患、希少疾患は療養・治療に長い時間を要する。その間、患者のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)維持のために、患者自身やその家族が適切に管理しながら、服薬や食餌療法、運動療法などを続けることが必要不可欠となる。

一方で、たびたび起こる症状の悪化、繰り返される治療、やむをえない離職など疾患による社会活動の制限、終わりの見えない服薬などは、患者に身体的・精神的に大きな負担を強いるものだ。治療効果をなかなか実感できない、あるいは糖尿病のように自覚症状が乏しいなどが原因で、患者が決められた服薬や療法を適切に行わなくなってしまい、疾患がますます重症化するケースも少なくない。

慢性疾患、希少疾患においては、医療・治療を中断することなく、患者が通院や自己管理まで含めて、適切に治療に取り組める環境を整備することが重要な課題となっている。同社の「Connected Health」は、個々のサービスや情報を連携させることで、患者中心のヘルスケアシステムを実現し、予防・診断・治療・予後モニタリングが連携した、より適切な医療の提供をめざすものだ。

■製薬企業への3つの支援


今回の製薬企業向けのサービスは、次の3つの支援をする。すなわち、対象疾患の選定、疾患ごとのペイシェントジャーニー分析による課題の洗い出しなどの「構想策定支援」、PoC(Proof of Concept:概念実証)、プロセス設計、システム開発、ハイパーケアといった「実現化支援」、分析・プランニング、運用・保守、開発などにおける「DevOps支援」(デブオプス:開発チーム〔Development〕と運用チーム〔Operations〕が強調してシステム開発を行うこと)である。

同社は「Connected Health」が実現することで、製薬企業はこれまでとは異なる直接的かつ俯瞰的な患者との接点が生まれ、それらを通じて、より正確に患者を理解し、医学的エビデンスの創出や創薬への価値循環などが起こることを期待する。


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WRITTEN by

加藤 泰朗

1973年生まれ。人文系・建築系・医学看護系の専門出版社を経て、独立。
フリーランスとして、編集・ライティングを行う。
難しいことを楽しく、わかりやすく伝えることを大切にしています。
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