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加藤 泰朗 2021.7.26
日本の医療AI最前線

業務負担軽減と医療費削減に力を発揮する注目の医療AIサービス

人材不足、長時間労働、医療費の増大。医療現場が抱える課題は山積みだ。これらの課題解決にAIを活用する動きが、日本でも急速に広まっている。AIの医活用の場面は、画像診断支援、創薬、手術支援、診断支援などさまざま。今回は、業務負担軽減と医療費削減に注目して、6つのサービスを紹介する。

■AIによる画像解析で運営業務の効率化を図る


AIを使った監視カメラの画像解析で病院運営の効率化を提案するのは、AI・IoTビッグデータプラットフォームを開発するOPTiMのサービス「OPTiM AI Camera Enterprise」だ。

OPTiM AI Camera Enterpriseは、既設の監視カメラで撮影した映像をクラウドで画像解析するAI画像解析サービス「OPTiM AI Camera」を、小売り店舗、鉄道・交通機関、医療機関、飲食店、空港施設など、11業者向けにカスタマイズしたもの。

医療機関向けのサービスでは、待合室の滞在人数の検出、平均滞留時間の分析などによる待合室・受付の混雑状況の“見える化”、所定の場所に設置された「手指消毒器」の利用状況の検出による院内感染発生の抑制、あらかじめ顔情報を登録した認知症患者の動きの“見守り”、薬品庫や新生児室など立ち入りが制限される場所のセキュリテイ強化などに役立てられるという。

「OPTiM AI Camera Enterprise」の導入イメージ(OPTiM HPより)

■診療時の入力業務の負担を軽減するサービス


アドバンスト・メディアの「AmiVoice」は、AI音声認識技術でさまざまな文字入力業務の負担を軽減するサービス。マイクに話しかけるだけで、話した内容が自動でテキストに変換される。

AmiVoiceの医療用サービスは、音声入力した内容をリアルタイムに共有する「AmiVoice iNote」や、クラウド型の音声入力サービス「AmiVoice CLx」など、全部で9種類。そのひとつ「AmiVoice Ex7」は医療文章の入力サポートに特化したサービスだ。各分野の医療専門辞書を搭載しているため、専門的な医療文章の作成もスムーズ。ユーザーの音声の特徴を自動学習する機能や、音声入力がしづらい人名や病院名などの固有名詞を単語登録する機能も実装している。AmiVoice Ex7は、電子カルテ作成、紹介状、看護記録、退院サマリー向けの「Clinic / Hospital Clinet」、放射線科読影レポート向けの「Rad」、整形外科カルテ向けの「Orthopaedic」など、さらに10種類のバージョンが用意されている。

本サイトでこれまで何度か紹介してきたUbieの「AI問診ユビー」は、個々の患者に最適な質問をAIが自動生成・聴取し、医師のカルテ記載業務の効率化を実現するシステムだ。患者の自宅や待合室で診療前にWEB問診をすませると、問診結果は医師用語に変換され、診察前にカルテの約8割が完成するしくみ。システムを利用することで、1人あたりの初診問診時間が1/3、年間で約1,000時間の業務時間削減につながる(同社HPより)。

■AIで将来の疾患を予測し医療負担を減らす


東芝デジタルソリューションは、1年分の健康診断データをもとに6年先までの疾病を予測する「疾病リスク予測AIサービス」を開発・提供している。予測対象となる疾病は、糖尿病高血圧症、脂質異常症、腎機能障害、肝機能障害、肥満症の6つ。予測結果を「○年後のリスクは△%」と具体的に示すことで、AIが抽出した改善候補の生活習慣に対する健康指導がより説得力のあるものになる。

「透析・虚血性心疾患予防における医療連携プログラム」の概要(JMDCプレスリリースより)

データを活用した新たなソリューションを提供するJMDCは、同社の疫学レセプトデータベース「JMDC Claims Database」*を用いて疾患発症予測AIを開発。2021年4月に、愛知県長久手市、アステラス製薬、スギ薬局ライフログテクノロジーと共同で、糖尿病患者を対象に疾患発症予測AIを用いた「透析・虚血性心疾患予防における医療連携プログラム」を開始すると発表した。データをもとに透析および虚血性心疾患の発症リスクが高い対象者をAIが抽出。かかりつけ医と専門医の連携促進とICTを活用した多職種連携による生活指導を提供する計画だ。

* 2005年より複数の健康保険組合から収集したレセプト(入院、外来、調剤)および健診記録のデータベース。

AIによるデータ解析企業FRONTEOは2021年5月12日、電子カルテの記載から将来の骨折リスクの可能性がある患者をスクリーニングする「骨折スクリーニングAIプログラム」の開発を開始したと発表した。同社が独自開発した自然言語処理AIエンジン「Concept Encoder」の技術を活用し、入院患者の電子カルテに記載された医療情報から院内で骨折する可能性のある患者をスクリーニングする。同社にとっては、「会話型 認知症診断支援AIシステム」に続く、2つめのAI医療機器となる(詳細は「AIで変わる! アルツハイマー型認知症のスクリーニング法」)。


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WRITTEN by

加藤 泰朗

1973年生まれ。人文系・建築系・医学看護系の専門出版社を経て、独立。
フリーランスとして、編集・ライティングを行う。
難しいことを楽しく、わかりやすく伝えることを大切にしています。
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