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Medical DX編集部 2021.5.31

希少疾患治療サポートへの取り組みを活発化させる武田薬品工業

近年、薬価改定による価格引き下げによって縮小傾向に向かっていた製薬業界では、希少疾患(オーファン)系の薬剤の開発が活発化している。希少疾患薬の市場は、来年には世界で20兆円を越える規模になると予測される成長分野である。

希少疾患とは、患者数は世界全体で3億5000万人、おおよそ1万人につき5人未満の疾患を指し、その疾患数は5000〜8000あるとされている。同じ疾患を持つ患者によって、症状やその徴候が違う場合もあるため、医療従事者にとっても経験や知識を積むことが困難で、正しい診断・治療ができるまでに時間を要することも多い。

世界8位のメガファーマ・武田薬品工業でも、この希少疾患に対する取り組みが活発化している。一昨年、90年代後半から希少疾患の製薬に関して、積極的な動きを見せていたアイルランドの製薬大手・シャイアー社を買収した。

その武田薬品工業が先月、希少疾患・遺伝性血管性浮腫(HAE)において、ヘルステックベンチャーとの新たな動きを発表した。

まず4月13日に、株式会社エクスメディオと共同で、医療者向け臨床課題解決サービス「ヒポクラ × マイナビ」において、希少疾患の早期診断をサポートする医師向けサービス「希少疾患発見パッケージ」を開発。HAEという疾患で最初にリリースした。さらに同21日にはUbie株式会社の「AI受診相談ユビー」「AI問診ユビー」においてHAEに関する連携を開始した。

HAEとは、腹部や顔面、足、性器、手、喉など、身体のさまざまな場所に、繰り返し浮腫発作を引き起こす希少な遺伝性疾患だ。喉に発生した場合は気道がふさがり、最悪は死に至る危険性もある。日本では診断されている患者数は450人ほどだが、認知度の低さから診断にいたっていない患者もいるとされ、2〜3000人の患者がいると推定されている。

エクスメディオと共同開発した「希少疾患発見パッケージ」は、2つの機能から構成されている。1つは疾患のガイドラインの診断基準、専門医の知見などをベースにした自然言語解析によって、確度高く希少疾患の疑いを発見する希少疾患向け「AIチェッカー」。そしてもう1つは非専門医が匿名で専門医に診断・治療のアドバイスを受けられる遠隔相談機能「コンサルト」だ。「コンサルト」はこれまでも皮膚科、眼科、心不全、呼吸器の4領域で実施、実績のある機能である。

かたやUbieとの協業では、生活者の適切な受診行動をサポートする相談サービス「AI受診相談ユビー」において、HAEを含む血管性浮腫に関連した症状の回答がされると、血管性浮腫の情報とともに武田薬品工業のHAEの情報サイト「腫れ・腹痛ナビ」へのリンクが表示され、さまざまな情報を取得できるようになる。また、医師の業務効率化を支援する問診サービス「AI問診ユビー」では、患者が来院時の問診でHAEを含めた血管性浮腫に関連する症状を回答すると、医師が問診を確認する画面で詳細な情報が表示され、適切な診療のためのサポートが行える。

希少疾患に関しては、患者数の少なさ、また情報の少なさから、なかなか対策が進んでこないところがあったが、今回のような動きが活発化することで、難病を抱えた患者たちへの手厚いサポートが進んでいくことを期待したい。

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