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Medical DX編集部 2021.5.18

日立、IBMなどが医療AIプラットフォームの社会実装に向けた技術研究組合を設立

■日本ユニシス、日立製作所、日本IBM、ソフトバンク、三井物産が参画


当メディアでも以前紹介したように、内閣府戦略的イノベーション創造プログラム「AI(人工知能)ホスピタルによる高度診断・治療システム」プロジェクトでは、医療AIプラットフォームの社会実装に向けた検討が、2020年度から始められている(「2020年の実用化に向けて動き出した『AIホスピタル』構想」)。

それを受けて、医療AIサービスのさらなる普及と発展のため、この4月に、日本ユニシス、日立製作所、日本IBM、ソフトバンク、三井物産の5社が「医療AIプラットフォーム技術研究組合(Healthcare AI Platform Collaborative Innovation Parthership:HAIP)」を設立した。

技術研究組合とは、複数の企業や大学、独立法人などが協同して試験研究を行うために、技術研究組合法に基づいて、主務大臣の認可により設立される非営利共益法人のこと。ちなみにHAIPは、厚生労働大臣および経済産業大臣の認可を得て、設立されている。

これから迎える超高齢社会においての医療の質の確保、医療費増加の抑制、また医療分野での国際的競争力の向上ーーこうした課題と向き合うためには、画像情報や病理診断情報、生化学検査情報などの診療情報の効率的収集、ビッグデータベースの構築、AIによるデータ解析が必須となる。

また、日進月歩で進む医療の最新情報をすべてキャッチアップするのが困難になっている状況のなか、先端情報をキャッチアップし、医療従事者が共有できるようにする仕組みも求められている。

こうした状況に対応するために、業界共通の基盤技術として医療AIプラットフォームが必須とされているものの、次世代を見据えた共通の接続手順、高度なセキュリティ環境の提供方法、国際標準化の動きへの対応など、個々の企業だけでは対応しきれないという問題があった。

HAIPが研究開発に取り組む医療AIプラットフォームのイメージ

そこでHAIPを設立し、業界共通の基盤技術の研究開発を「オープン&クローズ戦略」に則って、多くの企業などに参画してもらい、その研究開発成果を積極的に公開していくことがめざされている。

具体的には、HAIPでは以下のような試験研究領域に取り組むとしている。

1.高度で先進的な医療AIサービスを、メニューとして一元的に提供するポータルサイト機能を有するシステム(以下、ポータルシステム)の研究開発

2.医療関係者などがポータルシステムを利用するうえでの本人認証(多段階・多要素認証)、データ転送時の暗号化技術などのセキュリティ領域の研究開発

3.ポータルシステムと医療AIサービスを接続するための規格であるAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)の研究開発

4.上記を共通基盤として医療関係者などが円滑に利用できるように、5Gを活用した医療AIサービスの実用化に即した機能などの要件を整理するための研究開発

5.医療AIサービスの開発ベンダーや研究者向けにデータ提供を仮想環境において実現して、物理的なデータ拡散を防止する技術などの研究開発

この研究が成果を上げ、医療AIプラットフォームの開発が実現すれば、医療機関だけでなく、民間の健診センターや保険会社なども医療AIサービスを利活用できる環境構築や、革新的な医療AIサービスに関する研究開発の後押しなども可能になると考えられている。

安心・安全な医療AIサービスの普及・発展に貢献して、医療の質の確保や医療関係者の負担の軽減、ひいては「医療分野におけるSociety 5.0の実現」の一助となることをめざすというHAIPの活動にこれからも注目していきたい。


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