診断
Medical DX編集部 2020.9.29

がんを切らずに診断可能にする3D画像技術を大阪大学・ニコンなどの研究グループが発表

大阪大学、九州大学、株式会社ニコンらの研究グループは、子宮頸部を生きた組織のまま、ホルマリン固定や染色を行わずに、リアルタイムに3次元で観察できる方法を開発したと発表した。

生体イメージング技術の応用により、ヒトの組織を体から切り取ったり染色したりせずに、生きたままのヒト組織が3次元で可視化できる観察技術と、人工知能(AI)による画像解析を併用することで、従来の診断法よりも 「傷つけずに」 「迅速」 「定量的」 な子宮頸がんの診断が実現可能になると期待されている。

現在、がんの最終診断には、病気が疑われる部位から組織片を切り取ってガラス標本を作り、病理医が顕微鏡で観察・診断する「病理診断」が不可欠なものとされている。

だが、採取する組織片の量によって、診断の精度が左右される。しかし、採取量を多くすると患者への負担が大きくなり、ごく稀に合併症を起こすリスクも伴う。

本研究にある子宮頸がんの場合は、患者が妊娠していることもあり、その場合には子宮頸部の組織を採取することは、高リスクであると考えられている。また、ガラス標本を作製するまでには、ホルマリン固定や染色など処理工程が多く、時間がかかることも課題とされてきた。

今回、この研究グループは、多光子励起顕微鏡を使って、組織を傷つけずに深い部位まで可視化する技術を応用するかたちで、生きた状態の子宮頸部組織を3次元で観察できる方法を開発した。この方法では、これまでの病理診断に比べて、患者への体の負担が少なくなるうえ、リアルタイムで組織の画像を得られる。さらには画像をAIによって解析することで、子宮頸部の正常組織、上皮内がん、浸潤がんの画像を定量的に分類できることも判明したという。

リリースによれば、この技術を応用することで、さまざまながんを切り取らずに、その場で診断できるという医療機器の開発に期待できるという。また、デジタル画像のデータもすみやかに手に入るため、AIによる画像診断も活用しやすくなる。そして、IoTを使い、病理医など医療専門職が少ない地域へ、全世界的にがん組織診断の提供ができ、がん診断への貢献ができると期待される。

研究については、アメリカのがん学会誌「キャンサーリサーチ(Cancer Research)」(オンライン版)に論文が掲載されている。


国立研究開発法人日本医療研究開発機構 プレスリリース
https://www.amed.go.jp/news/release_20200723.html
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Medical DX編集部

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