診断
Medical DX編集部 2020.9.2

オンライン診療をとおして予防歯科の大切さを伝えたい~中目黒コヤス歯科の挑戦

オンライン診療は2018年4月から日本でもスタートしていたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行により2020年4月から規制が緩和された(初診からのオンライン診療の一部を解禁や電話診療も限定的に認めるなど)。それに伴い、オンライン診療に取り組むクリニックが増えてきている。

とはいえ、歯科におけるオンライン診療に関しては、国から明確な指針はなく、各クリニックがそれぞれ得意分野を生かしたメニューを用意して展開しているというのが実情だ。

そこで、いち早く2018年からオンライン診療に取り組み、メニューも豊富に揃えている東京・中目黒コヤス歯科の小安正洋院長に、その現状と展望を尋ねた。

■オンライン診療ならではのメリットがある


ーー中目黒コヤス歯科では、新型コロナウイルス感染症の流行前からオンライン診療に取り組まれてきたとお聞きしました。

小安:2018年末からですから、まだほかのクリニックがほとんどやっていない時期から取り組んでいます。将来的には必要になるだろうという思いがあり、また当院は、健康な歯を維持することだけでなく、より美しい歯と口腔内を目指す審美メニューに力を入れていたことからホワイトニングや栄養療法・食事指導といったアプローチをとってきました。

ーー現在、オンライン診療にはどのようなメニューがあるのですか?

小安:診察したうえでどのようなホワイトニングがよいかご相談させていただく「ホワイトニング相談」、当院でホームホワイトニングを行われている方を診る「ホームホワイトニング外来」、虫歯や歯周病、全身疾患との関係などを踏まえた食事や栄養のカウンセリング「栄養療法・食事指導」、口腔内に関することであればどんな相談を受け付けている「お口の健康相談」、Luscious Lipsのカウンセリングを行う「コスメカウンセリング」、当院で治療を行っている患者様のみを対象にしている「フォローアップ外来」、お子様の虫歯や矯正などの相談を受け付けている「オンライン小児歯科相談」、そしてオンラインで診察する「オンライン初診外来」があります。

ーー「オンライン初診外来」は、4月からの新型コロナウイルス対策時限措置によってスタートした保険診療ですが、それも含めて、コロナ禍のなかでオンライン診療を希望される患者さんは増えていますか?

小安:緊急事態宣言後、一気に増えましたね。それ以前は週にお一人程度でしたが、宣言後は1日数人程度になりました。「オンライン初診外来」では、患者さん自身のスマホを使って口腔内をカメラで撮っていただいて診察するのですが、通信環境などの問題が生じるときもありますが、歯科検診レベルくらいのことは意外にできるなと感じています。また、お子様は歯科が嫌い・苦手といったケースが多いですが、オンラインだと恐怖感はないですし、1歳児でも診察できるというのは新しい発見でしたね。

ーーなるほど。オンライン診療ならではのメリットかもしれませんね。

小安:お子様の診療や相談に関しては、とくにそうですね。ほかにも、急に歯が痛いといった緊急対応的なもの、頻繁に通院の必要がないマウスピース矯正などもオンライン診療向きのものといえるかもしれません。ともかく、通院とオンライン診療という選択肢が増えたことで患者さんに安心感を与えられることや、引っ越された方にもオンラインであれば継続性を与えられるのはメリットだと感じています。

東京都目黒区にある中目黒コヤス歯科

■オンライン診療の課題と予防歯科を広げる可能性


ーー逆にオンライン診療に取り組まれているからこそ見えてきた課題といったものはありますか?

小安:そうですね。経営的に見ると、診療報酬が低いというのはありますね。オンライン診療ができるようにする初期投資に比べると、参入することに足踏みしてしまうクリニックもあるのではないでしょうか。また、通信環境の整備も必須でしょうね。5Gが本当に使えるようになるとクリアされる問題かもしれませんが、現時点ではまだ問題が生じるケースがあります。それと、どこまでが保険診療で、どこからが保険外(自費)診療なのか、患者さんは意外にご存じないので、オンライン診療ではそのあたりの周知をどう徹底していくかというのも課題かなと思います。

ーーそういった課題はあるにせよ、人口減少や高齢社会が進み、かつコロナ禍のなかではオンライン診療が求められるのも必須かと思います。歯科におけるオンライン診療の展望について、ご意見をいただけますか。

小安:ご指摘のとおり、将来的には必要なものだと考えて、当院はオンライン診療に取り組んできました。まだまだスタートしたばかりで、患者さんのニーズなどの把握に努めている段階ですが、私自身としては、歯科を身近に感じてもらうツールとしてオンライン診療はプラスだと感じています。

歯科に行くというと、日本では虫歯治療や歯周病治療が中心だったので、どうしても恐怖感をもっている患者さんが多いですよね。だからこそ、オンライン診療は、歯のことならなんでも相談できるものになればよいと思うんです。たとえば、セカンドオピニオンを求めるというのもよい。患者さんからはなかなかわかりづらいでしょうが、歯科にも専門性があります。だからこそ、オンライン診療を使って、いろいろな歯科に意見を求めるというのは、患者さんにとってメリットだと思うんですよ。

歯科は、スウェーデンなどがそうですが、これからは予防歯科がメインになってくると考えています。虫歯治療で歯を削るというのは、治療としてどうしても必要な場合がありますが、健康な状態から考えたら、マイナスの状態でしかないんです。当院は「できるだけ抜かない・削らない」という治療方針を掲げていますが、これは一度歯を削ると歯の寿命を縮めてしまう傾向があるからでもあります。

また、歯は全身の健康にも大きな影響を及ぼします。たとえば歯周病が全身に及ぼす影響としては、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞、糖尿病などが挙げられます。毎日の食生活を含めた生活習慣を見直して、歯周病を予防することから全身の生活習慣病を予防することにつなげていこうというのが現在のトレンドですから、予防歯科が重要になってくるんです。

そのためには、まずみなさんに歯により関心をもってもらうことが必要ですから、オンライン診療で歯科を身近に感じてもらえるようにしたいですね。

カウンセリングルームで患者さんへ説明・情報提供を行う小安院長


<プロフィール>
小安正洋(こやす まさひろ)
中目黒コヤス歯科院長。歯科医師・歯学博士。2003年昭和大学歯学部卒、15年博士号取得(歯学・美容歯科学)。厚生労働省認定臨床研修指導歯科医師、昭和大学歯学部歯科保存学講座美容歯科学部門兼任講師。
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