診断
Medical DX編集部 2021.12.24
加藤浩晃先生に聞くデジタルヘルスの現在地

「診療前相談」が医師と患者の関係を変える!?【加藤浩晃先生に聞く】

これまでこの連載において取り上げてきた、厚生労働省による「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」。その18回目が2021年11月10日、同じく19回目が11月29日に行われ、議論のすえに、指針の文面が検討会においておおむね了承された。

今後、パブリックコメントを経て正式に適用の運びとなる(ただし、現在適応中の「新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的特例的な取扱について」《0410時限措置》の終了後の運用となる)。

DX化による医療・ヘルスケアの変革を伝える「MedicalDX」にとって、今回了承された指針の大きなポイントはどういった点になるのか、加藤浩晃先生にお話をうかがった。

オンライン診療のための「診療前相談」


──10月7日の第17回検討会では持ち越しとなった指針の改定が、この18・19回目の検討会を経て了承されることになりました。

加藤 そうですね。この18・19回目の検討会で主に話し合われたのは以下の5つの検討事項についてです。

  1. 初診に必要な医学的情報
  2. 診療前相談について
  3. 症状について
  4. 処方について
  5. 対面診療の実施体制について

加藤 このうち「MedicalDX」を読まれている皆さんにとっては、1〜2番目の検討事項についてが、大きなポイントとなるのではないでしょうか。

──それはどういったことでしょう。

加藤 大きくふたつの事項が絡み合ってくるのですが……まず以下のチャート図をご覧ください。


オンライン診療の申込みから診療までの流れ(イメージ)
厚生労働省ホームページ「第18回 オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会 資料1」より引用

加藤 ポイントのひとつめとしては、オンライン診療に関して「かかりつけの医師」が行うことが望ましいとしながらも、第18回の検討会において初めて、「かかりつけの医師」以外でも必要な医学的情報があれば、初診からのオンライン診療が可能となる、ということが示されたことです。

ちなみに、以前もお話したとおり 、「かかりつけの医師」という呼び方はオンライン診療において、内科に限らず、皮膚科でも眼科でも、診察を受けている医師を指します。

──その医学的情報を提供するのは、どういったかたちとなるのでしょうか?

加藤 それがふたつめのポイントです。以前お話した「オンラインでのやりとり」で医療情報を得る、ということになります。

上のチャート図における中央にあたりますが、かかりつけの医師以外、初診に該当する場合において、医学的情報が不十分な場合には、「オンラインでのやりとり」によって患者さんの症状に合わせた医学的情報を確認して、オンライン診療が可能かどうかを判断する「診療前相談」が必要となりました。

初診からオンライン診療が可能な場合について
厚生労働省ホームページ「第18回 オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会 資料1」より引用

診療前相談について
厚生労働省ホームページ「第19回 オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会 資料1-1」より引用

加藤 ここで重要なのは、改定案において医師が患者さんの情報を確認する際に「医師-患者間で映像を用いたリアルタイムのやりとりを行い」としている点です。「リアルタイムに映像を用いる」ということは、チャットや電話ではなく、テレビ電話を使用しなくてはいけないということですね。

また、この診療前相談は上記の改定案で「診断、処方その他の診療行為は含まない行為である」と明記されています。ただ、そこで十分な情報を得て、症状がオンライン診療に適しているうえで、医師と患者さんの双方が合意すれば、そもそもオンライン診療が、映像を用いたリアルタイムのやりとりである以上、スムーズにオンライン診療に移行していけるだろう、というイメージなのではないかと考えられます。

ただ、診療前相談の費用や、診療前相談の上でオンライン診療が行えない可能性があるということを、どのように患者さんへ伝えていくのかは、それぞれ考えなくてはいけない部分になってくるでしょうね。

診療前相談が医師と患者の関係性を変える?


──ともかく、この検討会が区切りを迎えたことで、オンライン診療の方向性がほぼ確立したと見ていいかと思います。先生が考えられる未来像はありますか?

加藤 「診療前相談」がオンライン診療の受付窓口となり、オンライン診療プラットフォームへつながっていくとなると、診療前相談のプラットフォームのようなものが重要になってくるのではないかと思います。

患者さんがその相談プラットフォームから適切な医療機関、医師を紹介される、というような世界観もありえるかと。

──そもそも、かかりつけの医師がいない患者さんは、診療前相談のプラットフォームで、まずは相談する医師を探すこともあるわけですよね。

加藤 当然そういうケースも出てくるでしょうね。

これまでオンライン診療やオンライン服薬指導は、診療がはじまって薬を受け取るまでの、患者さんのUXの改善の話はされてきたと思うんですね。ただ、今回出てきた「診療前相談」という部分は、患者さんが経験するオンライン医療の、本当に最初の接触にあたりますよね。これまで、こういった入り口の話はされてこなかったんですよね。

オンラインの診療前相談が入り口となることで、今すぐとはいわないまでも、いずれ医師と患者さんとの関係も変わってくる可能性があると考えています。これまでと同様に、患者さんが通いやすい場所にある医療機関を選ぶ、患者さんが情報を集めて信頼できる医師や医療機関を選ぶ、ということのほかに、オンラインで相談や診療を受けやすい医師・医療機関を選ぶという選択肢ができるのではないかというふうに考えています。

これら以外にも、さまざまな議論がなされましたが、それを踏まえて、厚生労働省が改定案を再度構成し、通知発出に向けて進んでいくことになります。さらにこの指針を踏まえて行われる、2022年度診療報酬改定の行方も注目したいところです。

加藤浩晃(かとう ひろあき)
2007年浜松医科大学卒業。2021年一橋大学大学院金融戦略・経営財務MBA(経営学修士)。専門は遠隔医療AIIoTなどデジタルヘルス。16年に厚生労働省に出向、退官後はデジタルハリウッド大学大学院客員教授、AI医療機器開発のアイリス株式会社取締役副社長CSO、厚生労働省医療ベンチャー支援(MEDISO)医療ベンチャー支援アドバイザー、京都府立医科大学眼科学教室、千葉大学客員准教授、東京医科歯科大学臨床准教授など幅広く活動。『医療4.0〜第4次産業革命時代の医療』(日経BP社)『デジタルヘルストレンド2021』(メディカ出版)など40冊以上の著書がある。
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