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Medical DX編集部 2020.7.29

ウィズ・コロナ時代のお薬事情〜これからのオンライン服薬指導

新型コロナによって前倒されたオンライン服薬指導


これまでも当サイトで紹介してきたとおり、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行によって、診療のオンライン化が注目を集めている。

さて、このオンライン診療と対となるのが、この9月1日から全国で施行される予定となっている遠隔服薬指導、つまり「オンライン服薬指導」だ。薬剤師が本来対面で薬の正しい服薬方法を指導する「服薬指導」を行わなければならないところ、診療がオンラインである場合には、テレビ電話をはじめとするツールを利用した遠隔での指導が可能となる。

2018年から国家戦略特区内において実証実験が行われてきたが、昨年12月の改正医薬品医療機器等法(薬機法)によって法整備が完了し、前述のとおり今年9月からオンラインでの服薬指導が可能となることになっていた。

だが、この新型コロナ禍にあって、4月10日に厚生労働省が「新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて」の事務連絡のなかで、「時限的・特例的な対応として」診療が対面・オンラインに関わらず、全国の薬局でオンライン服薬指導(電話も含む)を認めることになった。

オンライン服薬指導のメリットとは


このオンライン服薬指導だが、本来はオンライン診療とセットで考えられるもので、対面診療以外の方法(=オンライン)で処方された「特定処方箋」を、オンライン服薬指導に対応した薬局へ送り、服薬指導を行なって患者の元へ該当の薬を配送する、というシステムだ。

要件がいくつか定められており、映像と音声によって相手の状態を認識する必要があることから、テレビ電話などのシステムの導入が必要であり、服薬指導時には、服薬指導計画の作成と医療機関との共有などが必要とされている。

※現在、上記の「新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて」により、オンライン診療はテレビ電話以外に電話での診療も可能となった。服薬指導も電話等で対応可能とされ、服薬指導計画の作成も求められていない。なお、医療機関からファクス等で送付され、備考欄に「0410対応」と記載されている処方箋が対象。

オンライン服薬指導のメリットを簡潔に説明すると、

  1. 病院・薬局での訪問人数・滞在時間を減らすことによって、院内感染などのリスクを減らすことができる
  2. 中核病院から遠い遠隔地の居住者や在宅診療などで、患者・訪問薬剤師にとっての負担が少なくなる
  3. 通院の負担が軽減されることによって、受診率・診療継続率が高まり、結果的に症状の重症化を防ぐことができる

というものだ。

だが、その一方で懸念の声があることも事実である。たとえば、オンライン服薬指導から患者への配送までのタイムラグがどうしても生じてしまうこと。交通網の整備されていない地域、災害が起きた地域などへの配送に関する問題は、どうしても避けられない課題ではある。

また、テレビ電話を使った指導に関して、患者側の通信環境などによる問題も指摘されている。とくに高齢者に関して、PC、タブレットなどのIoTデバイスに対応できるか否かは、オンライン医療全体の壁になっており、これからの改善点として検討されていくことになるだろう。


広まるオンライン服薬指導のプラットフォーム


だが、オンライン服薬指導は、こういった課題を補ってあまりある利便性のあるサービスだ。実際に9月からの本格始動に向けて、プラットフォームが整備されつつある。

お薬手帳の電子化


まずは、処方箋薬局で出される、処方履歴やアレルギー罹患などが記された「お薬手帳」について。現在すでに、広く電子化されている。高年齢者向けには財布に入れられるカード式のものも登場しているが、最も普及しているのがスマートフォンのアプリ。これならば普段も持ち歩けるし、急な病気の時などにも対応が可能であることから、対応薬局の数も増加中だ。

代表例として、日本薬剤師会の「eお薬手帳」、日本調剤の「お薬手帳プラス」、フリービットEPARKヘルスケア「EPARKお薬手帳」、ポケットファーマシー販売「ポケットファーマシー」、シミックヘルスケア・インスティテュート「電子お薬手帳サービスharmo」などがあり、ホームページから身近な対応薬局の検索も可能だ。

オンライン診療アプリの対応


処方箋を出す側、医療機関側ではどうか。医療のDX(デジタルトランスフォメーション)化を目指すオンライン診療のプラットフォームにおいて、オンライン服薬指導の本格化に向けた対応が進んでいる。

オンライン診療ツール「first call for オンライン診療」を提供するメドピアでは、4月にかかりつけ薬局化支援サービス「kakari」をリリース、「first call for オンライン診療」との連携を視野に入れている。メドレー社の「CLINICSオンライン診療」も、新型コロナの感染拡大に伴って、現在も暫定的に調剤薬局に対して提供をしているが、9月からの正式対応を決めている。

また、「オンライン診療ポケットドクター」を提供するMRTとオプティムでも、いち早くオンライン服薬指導に対しての取り組みを開始。2018年の時点で国家戦略特区である愛知県で同アプリを利用した日本最大規模の患者数の実証実験を行っている。ちなみに、コロナ禍において、本年9月6日までは「オンライン診療ポケットドクター」を医療機関に無料提供することを発表している。

本格始動が進むオンライン服薬指導。患者にとっても、医療従事者にとっても、ウィズ・コロナの時代を生き抜く重要なファクターとなるはずだ。


オンライン診療ポケットドクター
https://www.pocketdoctor.jp/
厚生労働省「新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて」
https://www.mhlw.go.jp/content/000620995.pdf
厚生労働省「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律の一部の施行について(オンライン服薬指導関係)」
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T200401I0510.pdf
日本薬剤師会「eお薬手帳」
https://www.nichiyaku.or.jp/e-okusuri/
日本調剤「お薬手帳プラス」
https://portal.okusuriplus.com/
フリービットEPARKヘルスケア「EPARKお薬手帳」
https://okusuritecho.epark.jp/renew/
ポケットファーマシー販売「ポケットファーマシー」
http://pocketpharmacy.co.jp/
シミックヘルスケア・インスティテュート「電子お薬手帳サービスharmo」
https://www.harmo.biz/customer/
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