診断
Medical DX編集部 2020.7.1

加速するAIによる画像診断支援のいまに迫る!

厚生労働省が「保健医療分野におけるAI活用推進懇談会」で挙げている6つの重点領域、1.ゲノム医療、2.画像診断支援、3.診断・治療支援、4.医薬品開発、5.介護・認知症、6.手術支援のうち、現状のAI(人工知能)がもっとも得意としている領域といえるのが、2の画像診断支援だろう。

画像を認識するAIがやっていることとは、端的に言えば「グループ分け」をすることだ。たくさんの画像のなかから、たとえば「これはネズミだ」「これはネズミではない」とグループ分けする。このグループ分けの予測精度が、ディープラーニングによって画像に含まれる着目すべき特徴をAIみずからが抽出できるようになったことで飛躍的に高まったのだ。

こうしたAIの特徴は、正常な細胞からなる組織画像とがん細胞を含む組織画像を見分けるといった画像解析の場面において、大きな力を発揮するといえる。

■世界で進む画像診断AIの開発


こうした試みは、世界中で進行している。

アメリカのVerily Life Sciences社はGoogle社との共同研究によって、網膜眼底画像の解析により脳卒中や心筋梗塞、狭心症などの心血管の疾患リスクを予測できる仕組みを開発した。

網膜眼底画像に写し出された目の血管をもとに、性別や年齢、喫煙の有無、血圧、心臓発作の病歴などを分析でき、28万人以上の患者のデータを学習したディープラーニングアルゴリズムによって心血管の疾患リスクを予測できるという。

また、マサチューセッツ総合病院放射線科の研究チームでは、頭部CT画像から脳出血の兆候を発見することができるAIシステムを開発した。

ほかにもDeepMind Technologies社が眼疾患診断支援、Enlitic社が肺がん診断支援、Arterys社が心疾患診断支援といった具合に、アメリカでは画像診断AIのスタートアップ企業が100社以上も登場しているという。

■大腸がん、脳動脈瘤、インフルエンザなどを画像診断


もちろん、日本でも画像診断を支援するAIの開発は行われている。

たとえばオリンパス株式会社は、内視鏡における病変検出用AIとして国内で初めて薬機法承認を得た、内視鏡画像診断支援ソフトウェア「EndoBRAIN-EYE」を2020年5月から発売している。

これは、大腸の内視鏡画像をAIが解析し、内視鏡検査中にリアルタイムでポリープやがんなどの病変候補を検出するというものだ。

同じように内視鏡検査にAIを導入して、大腸がんやポリープを検出できるシステムを開発しているのが、国立がん研究センターと日本電気株式会社(NEC)だ。NECが開発したAI「NEC the WISE」に内視鏡画像を学習させ、その検出精度を向上させている。

大腸がんが国内のがん死亡数、罹患数ともに近年増加傾向にあるため、がんの早期発見に役立つものとして、その活躍が期待されている。

ほかにも富士フイルム株式会社は、画像診断を支援するAI技術「REiLI(レイリ)」の開発と、それらを効果的に活用するためのプラットフォーム「SYNAPSE SAI viewer」の提供を開始している。

また、スタートアップ企業であるエルピクセル株式会社が、脳のMRI画像をAIが解析し、血管のこぶである脳動脈瘤を検出する医用画像解析ソフトウェア「EIRL aneurysm(エイル アニュリズム)」を発売している。2ミリ以上の嚢状動脈瘤に類似した候補点を自動で検出することで、診断精度を高めることができるという。

エルピクセルではさらに、大腸や肺、肝臓、乳房のがんなどのAI画像診断支援ソフトも開発中だという。

同じくスタートアップ企業であるアイリス株式会社は、インフルエンザに感染すると咽頭に発生するインフルエンザ濾胞と呼ばれる腫れ物に着目し、撮影した喉の写真をAIで解析することでインフルエンザの高精度・早期診断をサポートする医療機器を開発している。


■急がれるデータベースの構築


上記に紹介したもの以外でも、京セラコミュニケーションシステム株式会社と筑波大学が共同研究で皮膚腫瘍診断補助システムを、株式会社オプティムが「眼底画像診断支援システム OPTiM Doctor Eye」を開発している。

そもそも日本は、CTやMRIなど画像診断系の医療機器の導入台数が諸外国以上に多いといわれている。ならば、AI開発に欠かせない画像データも多いはずだが、それらはそれぞれの医療機関に属するものなので、データ集積がまだあまり進んでいないという。

AIによる画像診断支援をさらに進めていくためにも、まずは良質な画像データを収集したデータベースの構築が急がれる。


厚生労働省「保健医療分野におけるAI活用推進懇談会」
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000169233.html
AIを搭載した内視鏡画像診断支援ソフトウェア「EndoBRAIN-EYE」を発売:オリンパス
https://www.olympus.co.jp/news/2020/nr01577.html
REiLI | Fujifilm
http://reili.fujifilm.com/ja/#vision
EIRL(エイル) | AI画像診断支援技術 | エルピクセル株式会社
https://eirl.ai/ja
アイリス株式会社 (Aillis Inc.)
https://www.aillis.jp
皮膚腫瘍の良悪性を判定する人工知能診断補助システムを開発|KCCS
https://www.kccs.co.jp/news/release/2018/0712
「眼底画像診断支援システム OPTiM Doctor Eye」医療機器プログラムの認証を取得 | OPTiM
https://www.optim.co.jp/newsdetail/20190523-pressrelease

写真:Shutterstock
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