介護
Medical DX編集部 2020.7.1

ハードワークを補う!AI・ IoT・ICTで介護する時代

知られているとおり、介護業界の慢性的な人手不足は問題となっている。高齢化と人口減少が進むなか、介護サービスを提供する側も、介護サービスを受ける側も、このままでは満足できるサービスの提供・享受が困難になっていくだろう。これは、日本社会として早急に解決せねばならない大きな課題といえる。

そこで期待されているのが、AI(人工知能)やIoT(Internet of Things=モノのインターネット)、ICT(情報通信技術)などの介護分野への積極的導入である。

とくに次の3つのジャンルにおいて、大きな力を発揮することが期待されている。

  1. ロボティクス(ロボット工学)と連携した介護
  2. 認知症予防や事故防止、メンタルケアなどに力を発揮する見守りや対話
  3. 介護業界の事務支援といった側面も持つケアプラン作成

■介護に必須の力仕事をロボティクスで支援


ご存じの方も多いだろうが、介護分野においてはすでにさまざまなタイプのロボットが登場している。

被介護者の入浴・排泄介助などの際に身体を持ち上げたり、またリハビリの際に身体を支えたりといった具合に、介護に力仕事は必須である。そこで、そうした負担を緩和させるために登場したのが、介護ロボットだ。

たとえば、サイバーダイン株式会社の装着型ロボットスーツ「HAL」。人が身体を動かそうとするときに発生する生体電位信号を読み取り、その人の意思に沿った動作を補助・実現するというもので、被介護者の自立支援をアシストするタイプや介護者の介護支援をアシストするタイプがある。

ほかにも、介護支援をアシストできる株式会社イノフィスの「マッスルスーツ」、歩行支援をアシストするものでは株式会社 今仙技術研究所の「ACSIVE(アクシブ)」やRT.ワークス株式会社の「ロボットアシストウォーカー」などがある。

また、介護のなかでもとりわけ心理的・身体的負担が大きいといわれる排泄介助では、膀胱のふくらみを超音波で測定して排尿のタイミングを予測し、的確にトイレに誘導することができるトリプル・ダブリュー・ジャパン株式会社のデバイス「DFree」が注目されている。

■長期にわたる介護に必要な見守り・対話をサポート


高齢者や障害者の介護は長期にわたるケースが多い。しかし、介護者が一日中付きっきりというのは不可能であるし、また被介護者のストレスや孤独感も相当なものがある。そこで力を発揮するのが、AIやIoTを駆使した「見守り・対話」だ。

たとえば、富士ソフト株式会社の人型コミュニケーション・ロボット「PALRO(パルロ)」。すでに高齢者福祉施設などへの導入が進んでいるAI搭載小型ロボットで、音声認識と言語処理能力を組み合わせて会話することができ、また高速・高精度な顔認識機能を用いてその人物が誰であるかを特定することもできる。つまり、特定の被介護者を認識し、会話することが可能なのだ。ほかにも無線LANに接続できるのでインターネット上のニュースなどを伝えることや、しりとりやクイズなどの簡単なゲームを実施することもできる。

また、コミュニケーションロボットとしてはほかに、東日本電信電話株式会社(NTT東日本)の「Sota」やソフトバンクロボティクス株式会社の「Pepper」、株式会社オリィ研究所の「OriHime」などがある。

メンタルケアの一助として活躍するものにはペットロボットもある。「もっともセラピー効果のあるロボット」としてギネスに認定された、NDソフトウェア株式会社のアザラシ型ロボット「PARO(パロ)」や、ソニーマーケティング株式会社の犬型ロボット「aibo」などがその代表例だろう。

メンタルケアの一助としてペットロボットの活躍も期待されている

こうしたロボットだけではなく、被介護者がベッドから降りる際の転倒事故を防ぐために、離床を検知するIoTベッドなども病院や福祉施設で導入が進んでいる。パラマウントベッド株式会社の見守り支援システム「眠りSCAN」は、マットレスの下に設置されたセンサーによって寝返りや呼吸、心拍などを測定し、これらをリアルタイムにパソコンなどでモニターすることで、不測の事故から状態の変化などまでフォローできるものだ。

■自立支援を目指した介護プランを提案


AIなどの新しいテクノロジーに期待がかかっているもうひとつのジャンルが、ケアプラン作成だ。

介護の理想は被介護者の自立を目標とする自立支援型だが、そのための個人個人に適したケアプランを作成し、そのプランを実施することで何が改善されるのかなどをデータを用いて提示することは、なかなか困難な作業である。そこで、膨大かつ精緻なデータからケアプランを提案できるAIや、介護対象者の状況や状態をデータとして収集できるIoTやICTに注目が集まっている。

たとえば、株式会社シーディーアイはケアプラン作成を支援するケアデザイン人工知能「SOIN(そわん)」を開発・提供している。ほかにも株式会社ウェルモが「CPA(ケアプランアシスタント)」を2020年度リリース予定で開発を進めており、株式会社エクサウィザーズが認知症のケア技法のひとつであるユマニチュードを学習するための「コーチングAI」を開発・提供している。

国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口(出生中位・死亡中位推計)」では、2025年には総人口における75歳以上人口は18%に、2060年には27%になると想定されている。総人口自体が減少するなか、「後期高齢者」といわれる75歳以上の人口の割合が増える状況だからこそ、介護分野におけるAIやIoT、ICTの導入は待ったなしだといえるだろう。

世界初のサイボーグ型ロボット「HAL®」 - CYBERDYNE
https://www.cyberdyne.jp/products/HAL/index.html
製品情報 - INNOPHYS - 株式会社イノフィス
https://innophys.jp/product/
歩行支援機|製品紹介|株式会社今仙技術研究所
https://www.imasengiken.co.jp/product/acsive
製品紹介|RTワークス
https://www.rtworks.co.jp/product
DFree - 排泄予測デバイス/Toilet Timing Predicting Device
https://www.dfree.biz
会話ロボット最先端! PALRO(パルロ)【公式】 富士ソフト
https://www.palro.jp
ロボコネクト|クラウド型ロボットプラットフォームサービス|NTT東日本
https://business.ntt-east.co.jp/service/roboconnect/
Pepper(ペッパー) | ロボット | ソフトバンク
https://www.softbank.jp/robot/pepper
分身ロボット「OriHime」
https://orihime.orylab.com/
セラピーロボット「PARO-パロ-」 | NDソフトウェア(株)介護ソフト(システム)
https://www.ndsoft.jp/product/medical/paro/
aibo
https://aibo.sony.jp/
眠りSCAN | パラマウントベッド株式会社 | PARAMOUNT BED
https://www.paramount.co.jp/learn/reductionworkburden/nemuriscan
SOIN | 株式会社シーディーアイ[Care Design Institute Inc.]
https://www.cd-inc.co.jp/soin
CPA(ケアプランアシスタント)|サービス|WELMO INC. - 株式会社ウェルモ
https://welmo.co.jp/service/cpa/
Care Tech - 株式会社エクサウィザーズ
https://www.exawizards.com/business/caretech

写真:Shutterstock
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Medical DX編集部

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